奥深き就業規則の世界
私は社会保険労務士という仕事柄、いろいろな会社の就業規則を拝見します。そうしたときに感じるのは、就業規則にその会社の個性が表れているということです。雇用促進や職場改善などの助成金を使う時に、就業規則に新しい規定を追加することが多いですが、そのときにあわせて確認するのは次の二点です。
①かつて合法であったが、法改正によって現在は違法に変わった部分
②新設の法律により規定しなくてはならないが、まだ未策定な部分
①や②についてまめに対応している会社は、部署でしっかりと管理している、もしくは専任の担当者がいるんだなとわかります。
また、読んでいておもしろいのは服務規定と懲戒規定です。「居眠りを10分以上しない」「冷蔵庫の中の食品は賞味期限をよく確認して食べる」という規定を実際に見たことがあります。10分なら居眠りも認められるのかな? と思ったり、賞味期限切れの食品で腹痛を起こした社員がいたのかな(もしかして労災?)なども想像されます。
このように会社独自の考え方や働くうえでの事情が就業規則に表れるので、モデル就業規則をそのまま使う会社に比べて、そこには「人格」のようなものさえ感じられるのです。でも、意外と就業規則を隈なく読み込んでいる人は少ないようです。
おもしろい記載を見つけてその会社の人にお話しすると、「そんな規定ありましたか?」と驚かれることもあります。就業規則には会社の歴史が反映されていることもありますので、一度は熟読してみるといいでしょう。