自己コントロールが非常に苦手な点

ゲーム依存と診断されるには、ゲーム時間の長さではなく、ゲームによって日常生活に支障をきたしているかが条件になる。

毎日ゲームをしていても、きちんと学校へ行けて、成績もよければ、ゲーム依存には当たらない。だが、学校へ通学しなくなり、栄養失調、不眠症、ドライアイ、エコノミー症候群といった症状が出たりすると、これはゲーム依存とみなされる。先の教員は続ける。

「ゲーム依存になっている子は、現実世界にいろんな問題を抱えていることが多いです。親から暴力を振るわれているとか、同級生からいじめられているとか、きょうだいとの不仲がひどいなどといったことです。そもそも発達障害の子は、人間関係を育むのが下手なのでそうしたことになりやすい。それで、彼らは現実の嫌なことから逃げようとして、二次元のゲームの世界にのめり込んでいってしまうのです」

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リアルでの生活に不満があるからこそ、そこから逃げるために二次元の世界へのめり込む。これがゲーム依存への第一歩だ。

では、なぜ発達障害の特性がゲームと結びつくのか。

まず、発達障害の人たちは、現実の生活の中で健常者の人に比べて生きづらさを抱えていることが多い。人付き合いの中で他者の気持ちを読むのが苦手だったり、自分の意思を押し通してしまいがちだったりする。家庭でも同じで、発達障害の子供は親から「自分勝手な子」と見なされて虐待を受ける率が高い。

こうしたことは、彼らのストレスにつながる。日常生活に苦痛を感じ、そこから逃れたいという思いを抱きやすくなるのだ。それがゲームにハマるきっかけとなる。さらに、細かく言えば、ADHDの人には、その特性から気に入ったことにのめり込みやすいという特性がある。ゲームを好きになると、それ以外のことが見えなくなり、体調が壊れるまでやり続けてしまうということが起こる傾向が強いのだ。

ASDの人にも共通するところがあり、彼らは一つのことに非常に執着する特性がある。ゲームの何かしらの動きに心を捕らわれると、それなしではいられなくなってしまう。親が強引に取り上げると、パニックになることもある。

ADHDの人にもASDの人にも共通することとしては、自己コントロールが非常に苦手な点が挙げられる。一度何かにのめり込んでしまうと、自分を律して別のことをするということがなかなかできない。それゆえ、どんどんハマっていってしまう。