逆上するんじゃないかとか思うと
ブロックできず悩んでしまう
また、吉原で20年近く働くベテラン風俗嬢のゆみさん(45歳)も、10年前に起きた恐怖の出禁体験を話してくれた。
「10回以上来てくれたお客さんだったのですが、ある時、来店時に予定よりも1週間早く生理が来てしまい、お客様に『生理になってしまって、ごめんなさいね』と言ったんです。そしたらそのお客様が豹変し『てめえ! 生理で接客するとは何事だ! どう落とし前つけてくれるんだ』と首元を掴まれて怒鳴られました。怖くて固まってしまい、号泣しながら何度も謝って土下座までしました。だんだん男性も鎮まってきましたが、ひたすら謝り続けたら、その男性も機嫌を取り戻しまして、終了時間までなんとかやり過ごしましたが、当然、そのお客様は出禁にしました」
また、出禁客たちが、風俗嬢の日常にまで侵入してくるケースもある。
都内のデリバリーヘルスで働きながら吉原でも勤務するユウコさん(38歳)は言う。
「お店に来てくれる度に『愛してる』と言ってきたり、私の写メ日記の写真を勝手に保存してTシャツを作ってきて『お揃いだよ」ってプレゼントしてきたりと、ヤバい雰囲気だなと思っていたんです。しかもだんだん、私がTwitter上で他のお客様へのお礼を書いたりすると、それに反応して嫌味ツイートをし始めて、ある時は予約が取れなかった時に、別のお客様との待ち合わせ場所で待ち伏せされたこともありました。
また、私がソープでラストまで働いた後、ボーイさんに家まで送ってもらう際、バイクで尾行されたこともあります。ボーイさんに1時間以上、遠回りをしてもらってようやく巻くことができましたが、それが1週間も続いた時は、さすがにまいってしまいました」
男はその後も、ユウコさんのTwitter上のDMにしつこくメールを送ってきたりと一ヶ月近くつきまとったという。
当時をユウコさんはこう振り返る。
「こういう男は突然、出禁にするとやばそうだったので、予約が取れないふりをして徐々にフェードアウトしていきました。いきなり着信拒否や、出禁にすると余計に怒りをつのらせる。出禁にしても、着信拒否はしないとか、どこか、相手のガス抜きする場所をつくって、全ては切らないようにしていました」
男性客の中には、風俗店を引退した後の元風俗嬢をつけ回す者までいるという。吉原の高級店で20年以上働き、コロナを期に引退したマサコさん(42歳)は言う。
「私は誕生日の日にお客さんがワンホールのケーキを持って来て、ケーキを切る用のナイフで刺されそうになったことがありました。そのお客さんはもちろん出禁にしましたが、それ以来、お客様からのケーキは受け取らないことにしましたし、なるべく入店前にボーイさんに荷物検査をしてもらうようになりました。そのナイフで私を刺そうとした人は、お店を辞めた今も私のInstagramを探し当てて、見にきてます。風俗を上がった女の子に対してしがみつく神経がわかりません。でもこの人をブロックしたら、逆上するんじゃないかとか思うとブロックもできず、悩んでます」
いくら客を出入り禁止にしても、風俗嬢のリスクはなくならない。
今後の風俗店の入店セキュリティのさらなる強化が求められる。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班