電子にはない紙の「手触りや風合い」が、
記憶に残りやすくする

私の場合、前述したように新聞は基本的に電子購読して、土曜日だけ「紙チェンジ」しています。ストレートニュース中心の平日紙面は、電子版でざっと読めば充分だからです。

もし「電子版では頭に入ってこない」とか「なんとなく読み応えがない」といったことなら、それは「紙で読むのに適したもの」かもしれません。新聞の電子版や雑誌のサブスクはよく無料期間付きの体験キャンペーンをやっているので、気軽にいろいろ試してみるといいでしょう。

「頭に入ってこない」「なんとなく読み応えがない」文章を“記憶に残す”意外なテクニック_2
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紙で読むメリットは、通知などの邪魔が入らず腰を据えて向き合えることに加えて、印象に残りやすい点です。判型や装丁、レイアウトといったそれぞれの特徴があるのはもちろん、紙の硬さや厚み、めくったときの弾力や振動、それに手触りや風合いも雑誌によって微妙に異なります。それにモニタと違って、紙面上の位置といった固有の〝住所〞もある。

このような「背景情報」と、記事や写真といったコンテンツとが組み合わさった結果、「独特の体験」として印象に残りやすくなるのではないでしょうか。

定期購読者なら毎月読んでいる雑誌の触り心地をすぐイメージできるし、日経を紙と電子でW契約している購読者なら、電子版を紙面レイアウトで読むより、紙で読む方が頭に残るのを実感しているでしょう。
読むという行為において「触覚」は、ふだんあまり意識されることはありませんが、じつは大きなウェイトを占めているのです。

さらに、紙チェンジするといろいろと取り回しが効くのもポイントです。
ネット上の記事を「これ読んでみて」を同僚にメールで送ってもたぶん見てくれませんが、一緒にランチにでも行って切り取ったページを渡せば、その場で情報共有できるし、会話も広がります。

#1『SNSでバズる文章を書くためには、あえてコスパの悪い「新聞や雑誌を破りながら読む」が必要! プレゼン能力向上にも最適な「ちゃんと読む」習慣とは』はこちらから

#2『「きっと役に立つから我慢して読む」は無意味。楽しみながら読むためには「ざっと読む」と「ちゃんと読む」を使い分けて』はこちらから

ちゃんと「読む」ための本 人生がうまくいく231の知的習慣(PHP研究所)
著者:奥野宣之
「頭に入ってこない」「なんとなく読み応えがない」文章を“記憶に残す”意外なテクニック_3
2023年4月22日
¥1,760
‎ 352ページ
ISBN:978-4569854489
毎日5分だけ文章を味わえば、人生が変わる!「本を読む時間がない」「集中できない」と嘆くあなたに朗報!累計70万部超の「情報整理の達人」が教える、書く力と話す力を同時に伸ばす「すごいリーディング」

「タイパ(タイムパフォーマンス)が悪い」からと読書を敬遠する人が増えている。
だが、本に限らず何かをじっくり読むと、知識以上に得られるものは多い。なにより「言葉を扱う能力」が劇的に向上する。それは著者自身が経験し、証明してきたことでもある。本書では、新聞記者、ライター 、作家として20年にわたり「文章」を扱ってきた著者が実践し続ける、「スマホと距離を置く方法」や「自分に大切な文章だけを頭に残す方法」などを公開(その数、じつに231!)。本に線を引いたり、新聞を切り抜いたりして印象に刻むなど、一見するとコスパが悪そうな「習慣」ばかりだが、あなたの人生にきっとプラスになる。読む力が落ちていると言われる現代人に向けて、“丁寧に読む面白さと気持ちよさ”を教えてくれる。「近ごろ読書不足だから、ちょっと読んでみようか」といった気持ちで、ぜひ本書を手に取ってほしい。
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