電子にはない紙の「手触りや風合い」が、
記憶に残りやすくする
私の場合、前述したように新聞は基本的に電子購読して、土曜日だけ「紙チェンジ」しています。ストレートニュース中心の平日紙面は、電子版でざっと読めば充分だからです。
もし「電子版では頭に入ってこない」とか「なんとなく読み応えがない」といったことなら、それは「紙で読むのに適したもの」かもしれません。新聞の電子版や雑誌のサブスクはよく無料期間付きの体験キャンペーンをやっているので、気軽にいろいろ試してみるといいでしょう。
紙で読むメリットは、通知などの邪魔が入らず腰を据えて向き合えることに加えて、印象に残りやすい点です。判型や装丁、レイアウトといったそれぞれの特徴があるのはもちろん、紙の硬さや厚み、めくったときの弾力や振動、それに手触りや風合いも雑誌によって微妙に異なります。それにモニタと違って、紙面上の位置といった固有の〝住所〞もある。
このような「背景情報」と、記事や写真といったコンテンツとが組み合わさった結果、「独特の体験」として印象に残りやすくなるのではないでしょうか。
定期購読者なら毎月読んでいる雑誌の触り心地をすぐイメージできるし、日経を紙と電子でW契約している購読者なら、電子版を紙面レイアウトで読むより、紙で読む方が頭に残るのを実感しているでしょう。
読むという行為において「触覚」は、ふだんあまり意識されることはありませんが、じつは大きなウェイトを占めているのです。
さらに、紙チェンジするといろいろと取り回しが効くのもポイントです。
ネット上の記事を「これ読んでみて」を同僚にメールで送ってもたぶん見てくれませんが、一緒にランチにでも行って切り取ったページを渡せば、その場で情報共有できるし、会話も広がります。
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