ヘンテコリンな音楽をみんなが大歓迎した。
少年ナイフ、ガーゼ、有頂天、戸川純

8枚目!
少年ナイフ
「PRETTY LITTLE BAKA GUY」
(アルバム 1986年1月リリース)
筆者イチオシ曲『ロケットにのって』

シティポップの次にくるのはコレ! バンドブーム前夜=1980年代邦楽インディーズ時代の名盤10選_9

1981年にボーカル・ギターのなおことベース・ボーカルのあつこの山野姉妹を中心に大阪で結成された3ピース(当時)バンド。キュートでポップセンスが光る楽曲をチープな機材で宅録したサウンドが独特で、日本ではカルト的なバンドだったが、ニルヴァーナやソニック・ユースにリスペクトされていることが知れ渡ると、世界的に人気が高まった。

9枚目!
GAUZE(ガーゼ)
「EQUALIZING DISTORT」
(アルバム 1986年3月リリース)
筆者イチオシ曲『CRASH THE POSE』

シティポップの次にくるのはコレ! バンドブーム前夜=1980年代邦楽インディーズ時代の名盤10選_10
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40年以上にわたり一貫した姿勢で活動したハードコアバンド、ガーゼ。サウンドも演奏スタイルも主義主張も、1980年代の匂いを色濃く残す稀有なバンドとして内外からの注目度も高かったが、昨年ついに解散。ポーズだけのベジタリアンを痛烈に批判する『CRASH THE POSE』は、今の時代のバンドからは絶対に出てこないヒリヒリするような名曲だ。


10枚目!
有頂天
「ピース」
(アルバム 1986年9月リリース)
筆者イチオシ曲『BYE-BYE』

シティポップの次にくるのはコレ! バンドブーム前夜=1980年代邦楽インディーズ時代の名盤10選_11

ラフィン・ノーズ、ザ・ウィラードと並ぶ“インディーズ御三家”の一角、『BYE-BYE』はアルバム「ピース」からシングルカットされたメジャーデビュー曲。この頃の有頂天に捨て曲はないが、明るいのにヘンテコでどこか切ない、KERAのねじれたポップセンスが反映されまくったこの曲が、僕は特に大好きなので、イチオシとさせていただこう。

番外!
戸川純
「好き好き大好き」
(アルバム 1985年11月リリース)
筆者イチオシ曲『好き好き大好き』

シティポップの次にくるのはコレ! バンドブーム前夜=1980年代邦楽インディーズ時代の名盤10選_12
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番外としたのは、この曲がすでに今の若い子の間でよく知られているからだ。
1980年代初頭から、女優とミュージシャンの二足の草鞋を履いていた戸川純。表題曲『好き好き大好き』は、一昨年あたりからTikTokでバズり、日本のみではなく海外でも再生数が大きく伸びた。再注目の最大要因となった、恐ろしさすら感じる偏執的で猟奇的な愛を語る歌詞は、もちろん戸川純本人が書いたものである。


さて、いかがだっただろうか。
書き終わった僕の感想は「ああ〜、物足りない」。

今回ご紹介した10枚は、当時のインディーズ系音楽の中でも特に人気を集めていたものばかりで、実はこの先にはもっともっとディープな世界が、どこまでも広がっている。

それを本格的に紹介しようと思ったら、とてもこのスペースでは間に合わない。
もし需要があれば、続編をあと10回くらいは余裕で書けるので、ぜひご用命ください。

文/佐藤誠二朗