“1000万プレイヤー”でも実際の収入は10分の1ということも

売掛は、かつて店側に立て替えてもらうケースが多かった。だが、あまりにも売掛を踏み倒す客が多かったため、いつからか店の損害を避けるために担当ホストと客の貸し借りに変化していったという。
このシステム自体に違法性はないのだろうか。

「現状、売掛自体は法律上に問題はなく、当事者の合意があればそれを尊重すべきとされています。
しかし、売掛したもののお客様とホストでケンカになったり、女性が体調不良で風俗で働けなくなったという問題が発生した場合、売掛を飛ばすお客様やホストが現れる。

弁護士や警察にも双方からの相談は絶えないと聞きますので、僕はなんらかの形で法的な規制がされるべきだとは思います」(ゆうは氏)

しかし、法整備の前にホストクラブを運営する側の意識が変わらないと意味がないのではないか。

「『gd』では、毎月必ず売掛ミーティングをして、顧客リストを元にお客様の売掛状況や、これまでの入金実績なども確認しています。また、そのホストが立て替えできる能力があるのかどうかも把握しています。
それと、ホストたちの早く売れたいという気持ちを理解しながらも、ホストの月収に応じて段階的に売掛上限を決めて、過度な売掛をしないような制度ももうけました。
これが正解かはわかりませんが、まず大手の僕たちから対策をして、業界が変わっていけばいいと思っています」(ゆうは氏)

「2人で夢を叶えよう」ホストの甘い言葉に乗って借金地獄に陥る若い女性が増加中…客もホストも苦しめる“売掛”の問題点とは。“1000万プレイヤー”でも収入はその10分の1のケースも…_4
ゆうは氏の関わる「カラーズ」では、ミーティング時に行き過ぎた売掛を行わないよう厳しく指導が行われている
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ライターの内村氏も言う。

「売上1000万プレイヤーだと言われてるホストでも、売掛のせいで実際の給料は100万円に満たないことはよくあります。
見せかけの売上競争に欠かせない売掛は、ホストたちの虚栄心をくすぐる制度になってしまっている。これを変えるにはなんらかの規制が必要なのだと思います。
ホストクラブは女性が男性と同じように夜遊びできる場所。だからこそ、分別のある大人が楽しめる飲み屋として原点に立ち返ってほしいです」

健全な居酒屋も夜のお店も、お酒は自分に見合った飲み方をするもの。
ホスト業界でもそれが常識となる日がいつか来るのだろうか。

取材・文/河合桃子
集英社オンライン編集部ニュース班