TBS『JUNK』名物プロデューサーが「番組づくり」の極意を学んだ芸人とは? 寝ている妻への検証企画や超ヘビーリスナー「定吉さん」いじりも
TBSラジオ『JUNK』(月~金曜・深夜1:00~3:00)が20周年を迎えたのを機に、番組の統括プロデューサー・宮嵜守史(みやざき・もりふみ)さんがラジオ人生を振り返るエッセイ本『ラジオじゃないと届かない』(ポプラ社)を刊行した。番組作りの極意や、おぎやはぎ、バナナマンらパーソナリティの魅力も満載の1冊から、一部を抜粋、再編集してお届けする。
ラジオ番組を作るには「世の中の人」であればいい
リスナーを主役にできて、リスナーの投げかけや提案に柔軟に対応する。それは雨上がり決死隊じゃないとできないことでもあった。売れているのにおごることなくリスナーといつも同じ目線でラジオをしていた。二人のパーソナリティとしての能力はリスナーと一緒に遊べること。そしてリスナーを主役にできることだ。この「リスナーと一緒に番組を作り上げる懐の深さ」もラジオパーソナリティにとって重要な要素の一つだ。
先日、森三中・黒沢さんのYouTubeチャンネルに出演させていただいた。当時の僕に対する印象は、“とにかくギラギラした前のめりなディレクター”だったそうだ。確かに雨上がり決死隊から「イキリー宮嵜」と呼ばれるほどイキっていた。2人に対し、球を投げ込め、球を投げ込め、と呪文のように自分に言い聞かせていた。
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ラジオの番組制作の仕事は、人にモノを売るほかの商売と同じだ。大衆のニーズに刺さらなければ成り立たない。テレビと比べて、新聞と比べて、ネットと比べて……とか他者と優劣を比べる必要はない。ラジオにはラジオにしかできないものが多くある。ラジオだったから届いたもの、ラジオじゃなきゃ伝わらなかったもの、そういった個性と身の丈を知ることが大事だ。
だから、ラジオ番組を作るためには「世の中の人」であればいい。僕がそうであったようにいい大学を出ていなくたっていい。専門的な知識もいらない。ラジオに詳しくなくたっていい。人に届ける以上は心を込めて作ればいい。これだけで充分、ラジオは作れます。バイトあがりの僕ができるのだから。
文/宮嵜守史 写真/shutterstock
山本圭壱に「おい、ブタ!」 リスナーとの新たな関係性を築いた極楽とんぼ“伝説のラジオ番組”の革新性
2023/3/22
¥1,760
単行本(ソフトカバー) : 384ページ
ISBN: 978-4591174838
【内容紹介】
日常の中に無限にある「楽しみ」の中で、ラジオにしかできないことってなんだろう? TBSラジオ「JUNK」統括プロデューサーのラジオに捧げた25年が詰まった初の書き下ろしエッセイ。ラジオとの出会いから、プロデューサーになるまでのエピソード、人気パーソナリティたちの魅力まで。極楽とんぼ、おぎやはぎ、バナナマン、ハライチ、アルコ&ピース、パンサー向井慧、ヒコロヒーとの読み応え抜群のロング対談も収録。
【本文より抜粋】
世の中から見たらこぢんまりとした業界だけど、聴く人の心をしっかり掴むメディアだ。他ジャンルとの優劣を比較するのではなく、ラジオ独自の個性がどこかにある。ラジオだったからできたこと、ラジオじゃなければ伝わらなかったことが、きっとあるはずだ。
この『ラジオじゃないと届かない』では、エッセイと対談を通してラジオやパーソナリティ自身の魅力を伝えたい。僕がラジオの仕事をしてきた中で得た経験から、ラジオの良さを少しでも伝えられたらと思っています。(「ラジオってなんなんだ?」より)