ラジオ番組を作るには「世の中の人」であればいい
リスナーを主役にできて、リスナーの投げかけや提案に柔軟に対応する。それは雨上がり決死隊じゃないとできないことでもあった。売れているのにおごることなくリスナーといつも同じ目線でラジオをしていた。二人のパーソナリティとしての能力はリスナーと一緒に遊べること。そしてリスナーを主役にできることだ。この「リスナーと一緒に番組を作り上げる懐の深さ」もラジオパーソナリティにとって重要な要素の一つだ。
先日、森三中・黒沢さんのYouTubeチャンネルに出演させていただいた。当時の僕に対する印象は、“とにかくギラギラした前のめりなディレクター”だったそうだ。確かに雨上がり決死隊から「イキリー宮嵜」と呼ばれるほどイキっていた。2人に対し、球を投げ込め、球を投げ込め、と呪文のように自分に言い聞かせていた。
ラジオの番組制作の仕事は、人にモノを売るほかの商売と同じだ。大衆のニーズに刺さらなければ成り立たない。テレビと比べて、新聞と比べて、ネットと比べて……とか他者と優劣を比べる必要はない。ラジオにはラジオにしかできないものが多くある。ラジオだったから届いたもの、ラジオじゃなきゃ伝わらなかったもの、そういった個性と身の丈を知ることが大事だ。
だから、ラジオ番組を作るためには「世の中の人」であればいい。僕がそうであったようにいい大学を出ていなくたっていい。専門的な知識もいらない。ラジオに詳しくなくたっていい。人に届ける以上は心を込めて作ればいい。これだけで充分、ラジオは作れます。バイトあがりの僕ができるのだから。
文/宮嵜守史 写真/shutterstock













