首相の前で披露された
吉本新喜劇の「乳首ドリル」にもニヤリともせず
記者たちが一日中、その動向を追いかける首相の警護を担当するSPは、こんな場面も目撃されている。
「安倍元首相が夏休みに温泉に行ったときには、湯舟の中や洗い場に屈強なSPが4、5人ほどいました。温泉にくつろぎに来た一般のお客さんに迷惑をかけないよう、普段よりは柔らかな雰囲気でしたが、目は光らせていました」(全国紙政治部記者)
「安倍元首相が首相公邸で吉本新喜劇のメンバーと面会した際、芸人のすっちーと吉田裕さんが『乳首ドリル』の鉄板ネタを披露して、首相も官邸スタッフも大笑いしていたときも、数人いたSPさんだけはニヤリともせず、仁王立ちしていたのが印象的でした」(同)
SPの仕事の中でも、今回のような選挙中の警護は、とくに大変だ。
「選挙のときは、不特定多数の聴衆と接する街頭演説や、公共交通機関での移動が続き、気が抜けません。なるべくトイレに行かなくても大丈夫なように、前日の夜に下剤を飲んで、おなかを空にした状態で一日警護にあたるSPもいます」(警察庁関係者)
そんな、どこに危険が潜んでいるかわからないプレッシャーと戦うSPも、当たり前だが業務を離れれば、一人の人間だ。
「屈強で大柄、厳しい表情のイメージが強いSPですが、チームプレーで働き、ずっと一緒にいる警護対象者の政治家との信頼関係が大事な仕事だけに、明るく人柄がいい人が多いのも事実。首相官邸の食堂で、モリモリと親子丼やカレーをほおばり、わいわいしゃべっている若いSPさんたちの姿は、どこにでもいる普通の青年です」(全国紙政治部記者)
政府・自民党は、23日に投開票される衆参5補欠選挙での首相らの演説を屋内で実施するなどの見直しを進めているという。多くの有権者が政治家の演説を聞く機会を確保しつつ、これ以上、政治家も聴衆もSPも危険な目に遭わないようにするため、事件の検証や再発防止が喫緊の課題だ。
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取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班