みんな蜘蛛の子を散らすように逃げ出しました
4月15日午前11時半ごろ、岸田文雄首相が訪れていた衆院和歌山1区補欠選挙の応援演説会場の雑賀崎漁港(和歌山市)で、聴衆に紛れた男が演説台に向かって筒状のものを投げ込み、直後に爆発音が起こって白煙が舞い上がった。男は近くにいた漁師の男性に取り押さえられ、岸田首相や聴衆らにけがはなかった。
現場にいた捜査員に引き渡され、威力業務妨害容疑で現行犯逮捕されたのは、兵庫県川西市、職業不詳、木村隆二容疑者(24)。和歌山県警が爆発物の詳細や動機などについて調べている。
岸田首相が地元で獲れたエビを試食して演台に上がろうとした際、筒状のものが投げ込まれた。その瞬間「お前、なにやっとんや!」と目撃した漁師が怒号を上げて男に飛びかかって押さえつけ、続いて警察官がなだれ込んできた。
現場にいた近くの住民女性が語る。
「地元の人達が200人くらい集まっていて、警察官も会場を囲むように何十人と配置されていました。私は後ろの方にいたので最初は何が起きたのか分からず、前の方から『きゃー!』という悲鳴の後、警察官の『下がってください』という大声の誘導が聞こえました。直後に『ドン!』という大きな爆発音がして、白い煙も少し見えてきて、みんな蜘蛛の子を散らすように逃げ出しました。
演説を見に行く時点で、去年の安倍さんの事件が頭に浮かびましたけど、ここは田舎だしそんな悪い人はいないだろうと思っていたんです。でも実際に同じような事が起きて、怖くてかなり動揺しました。地元の人たちが無事でなによりでした」
容疑者を取り押さえた漁師は、地元でもよく知られた男気に溢れた猛者だった。
「Kさんとおっしゃる50代の鯛引き漁をしている方です。漁師だから力も強いしカンも鋭いから、とっさに機敏な動きができたんじゃないでしょうか。漁師の中ではベテランなのに、上下関係を感じさせないくらい気さくで、誰にでも優しくて親切だから漁師以外の地元の人達にも慕われています。
男気があって働き者なのに、全然お酒が飲めない可愛いところもあります。警察より早く動いて捕まえるなんて中々できませんから、本当に勇敢で漁師の誇りですね」(別の住民女性)