とうとうやって来た親子2世代に渡る視聴

――20年が経過しようとしているなかで、「ふたりはプリキュア」当時に子どもだった世代が母親になって子どもと一緒にプリキュアを観ることも現実的になってきましたよね。鷲尾さんとしては、そういった実感はございますか?

とうとう来たか……というのが正直な感想ですね(笑)。イベントでも子どもだけではなく、大人のお客さんもすごく増えました。昔の視聴者が自分の子どもと一緒に観る、番組開始当時は想像もつかなかった、すごい時代になったんだなと。

でもやっぱり当時の視聴者が観るとなると、面白いのはもちろんですが、子どもにも観せていいと思ってもらえる作品を作り続けていかなくてはいけませんね。「私が観ていたころとは違う」と思われるものを作ってしまっては意味がないので、ずっと好きと言ってくれる作品を作らなければいけない……。そう思いますね。

私としては女の子らしさ、という観念は特に気にせず、女の子、男の子問わずに自分の力で立ち向かえる作品を作ることがベストだと考えています。自分の足で凛々しく立つことができていれば、男女差は関係ないということは、作品を通じてはっきりと伝えていきたいです。

プリキュアが子育て、男の子がプリキュアに……異例づくしのプリキュアだが「多様性は意識していません。子供は怖いですから」と初代Pが語る本当の理由とは《プリキュアシリーズ20周年》_5
超貴重な「プリキュア」企画立ち上げ時の企画書
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――プリキュアの目指す未来は、今後どんどん予想できないものになっていきそうですね。

もちろん続けられるのであれば出来るだけ長く続けていきたいとは思っています。ただ、プリキュアとして製作していくことが難しくなっていくようなことがあれば、無理やり続けていく必要はないと考えています。終わりが来たら受け入れる覚悟は出来ています。

その日が来るまでに女の子、男の子限らず視聴者の子どもたちには、友情や助け合いを通じて自分の力で自立することの大切さを感じてもらえる作品を送り続けることができれば幸いですね。

#1前編『最初の企画書に書かれていた「プリキュア」の決定的な理念』はこちら

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取材・文/文月(A4studio) 撮影/下城英悟