世界中のCEOの70%が景気後退場面を懸念
――ということは、米国は今、バブルの真っ只中にいるわけですね。 2023年3月に起きたシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行の経営破綻、クレディスイスの実質破綻処理などの危機が騒がれた状況は、どのように考えれば良いのでしょうか?
シリコンバレー銀行、シグネチャー銀行が経営破綻、クレディスイスが実質破綻し、UBSに買収される状況になっても、NYダウはまったく落ちる気配を見せません。
ここが肝要なところですが、大恐慌発生前の1920年代に米国で何が起きていたかというと、フロリダで不動産バブルが起きておおいに盛り上がった末に弾けたのです。当時は群がった投資家に融資した銀行が100行ほど潰れました。
ところが今と同じで、当時のNYダウはまったく下げなかったのです。それを見た米国の投資家たちは、いったんフロリダ不動産からマネーを引き揚げ、手っ取り早く儲けられるNYダウへの投資にさっさと〝方向転換〟したのです。
昨今のFTXや仮想通貨の破綻、ビットコインの暴落、銀行の破綻などは、まるで当時との重ね絵を見るようです。これが何を示しているのか。マーケットからの警鐘に他なりません。
バイデン政権のマネーのばら撒きは、あらゆる消費財価格を急騰させてしまった。これを抑えるのに、FRBは金利を上げざるを得なくなりました。金利が急騰するにつれ、各金融機関が保有する債券の価格は逆に暴落の憂き目を見たのです。
2022年10月の段階で、米国債の発行高は31兆ドル(約4000兆円超)にも及びました。先般成立した2023年度の日本の国家予算が約114兆円ですから、ざっとその40倍です。その4000兆円のうちの数百兆円の米国債はその時点で、含み損を出していた。そうした状況下、経営破綻に至る銀行が出てきましたが、これは氷山の一角に過ぎません。
これまでFRBは40年間にわたって金利を下げてきて、景気を良くして、米国株は基本的に上がり続けてきました。ところが、FRBはバイデン政権の〝失政〟から、40年間下げ続けてきた政策金利を上げ始めた。
すると長年FRBが行ってきた金融緩和政策のために市場が〝緩和中毒〟になってしまい、その症状が経済の歪みとなってどんどん目立ってきました。だから、世界中のCEOの70 ~80%がリセッション、すなわち景気後退場面が訪れると表明しているのです。実際、ブルームバーグもロイターもウォールストリート・ジャーナルもリセッション入りを予測しています。
♯2へ続く
写真/shutterstock
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