「1929年世界大恐慌」直前の状況と酷似
――岩永さんは著書の中で、2025年に米国発の金融暴落を経て、“グレートリセット”が起きると予測しています。この推移について、過去に似通った例はありますか?
1929年から1932年にかけて起きたNY発の「世界大恐慌」です。おそらく、これに則した状況になるはずです。というのも1929年の世界大恐慌が発生する手前のNYダウのチャートと、2023年のNYダウのチャートが瓜二つなのです。
当時と今の状況とを比べて、当時はモノがない時代だったし、経済規模も桁違いなどとさまざまな差異はあるけれど、今回も金融恐慌→金融収縮→大恐慌に発展していくだろうと見ています。
どんなに時代が変わろうと、人間の欲望、熱望、渇望、スペキュレーションには限りがないのです。そしてマーケットにはもれなく”臨界点”が存在しているのです。
1980年から米国は40年間も利下げを続けてきました。その間、小さなデコボコがあったにせよ、基本的にNYダウは上昇し続けてきました。オバマ政権時にはいったんリーマン・ショックによりNYダウは6500ドルまで下落を見たものの、現在は3万3000ドルと、リーマン・ショック時のボトムから5倍に膨らんでいるのです。
1929年の世界大恐慌時はどうだったでしょうか。NYダウは40ドル台からスタートして1928年から急上昇をし始め、381ドルまで上がりました。
日本で暮らしていると、今のアメリカ経済がバブルなのかどうかはよくわからないかと思いますが、例えば今年に入ってから暗号資産交換業大手のFTXが破綻したり、ビットコインの価格が暴落したことなどは、世界規模でバブルが起きていて、その崩壊が近づいていることを教唆してくれています。
ただし、それでも米国のNYダウは下落せずにじりじりと上昇している。先にふれたように、私には今のNYダウの状況が1929年の状況に重なっているように見えるのです。2023年の我々の立ち位置は、世界大恐慌が発生する1年前の1928年の状況に酷似しているように思えてなりません。