横領事件がばれ、過去の事件を自ら通報

「おはようございます。これからお墓参りに行ってくるんです」

自ら110番通報した3月19日の朝9時、小川順也容疑者(37)はそう言って近くのお墓へと向かう姿を近隣の住民に目撃されている。この日はお彼岸で小川容疑者は普段と何ら変わらない様子だったいう。その後、「中学校の同級生を殺して埋めた」と通報し、逮捕されている。近隣住民が語る。

「1年前から順也君が自治会の会計を担当していました。会計を担当すると自治会の活動に使うためのお金の入った通帳や印鑑を預かるので、やろうと思えば自由に引き出せます。70万円くらいを引き出したと聞いています。会計の役は持ち回りの年齢順で、当初は順也君も『えー会計はちょっと……』と拒んでいたのですが、断りきれずしぶしぶ引き受けていました。運送会社の仕出しをやっていると本人は言っていたのですが、働いている様子はなかったので、お金に困っていて使いこんだのかもしれないですね。ちょうど新年度に入るので会計役の引継ぎが迫っていて、使い込みがバレて、過去の“事件”もすべてが発覚すると思い悩み、自首したのでしょう。横領事件が”別の事件”になってしまった」

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小川容疑者の自宅を出入りする捜査員(撮影/集英社オンライン)
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田畑の広がるのどかな小さな町での小川容疑者の評判はよく「礼儀正しく優しい青年」と近隣住民は口を揃えて言う。小川容疑者とは一体どのような人物なのか。小川容疑者の知人が語る。

「遺体の見つかった家でもう10数年以上一人暮らしをしていますよ。男の一人暮らしなので手が行き届いていなかったのか、草も背丈の高さまで伸びて、敷地内にはゴミが散乱していました。ただ、かつてはこの家に家族で暮らしていて順也君ものびのび育っていました。順也君の祖父は農家で、小学校の頃は順也君も農業を手伝っていました。器用にトラクターを乗りこなし、大工だった父親の影響からか大工になりたいと言っていた時期もありました。
ただ、家庭環境は複雑で母親には軽度の障害があり、年子の妹も重度の障害を持っていました。最初は歩けていた妹も寝たきりになり車椅子で生活するようになり、いつの間にか母親と妹は施設で暮らすことになったと聞いている」

そんな小川容疑者の人生に暗雲が立ち込めたのは20年ほど前からだと知人は言う。この頃、大工だった父親はアルコール依存症になり、治療を試みていたようだ。同時期に小川容疑者の自宅には“ある車”が度々停車されるようになるのが目撃され始める。そしてこの頃、町ではある噂が出始めた。知人は続ける。

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地元消防団にも入っていた小川容疑者

「車のない順也君の家に頻繁に訪れていた中学の同級生Aという男がいました。順也君はAからお金をタカられているというのはこの辺では有名な話でした。一緒に同居しているという噂もあって、順也君の性格から考えると断り切れず言われるがままにしていたのだと思います。順也くんは地元の消防団に入っていたのですが、それももとは断りきれずに入団している。そんな風に頼まれると断り切れない性格なんです」