「筋トレを一切やらない選手もいる」
プロゴルファーで解説者のタケ小山氏は言う。
「ウッズとかマキロイはたしかに好きですよね、筋トレ。ものすごい体をしていたデシャンボーは、どうも体を壊してやめちゃったみたいですけどね。
みんな筋トレをやりたくなっちゃうんじゃないですか。やらない選手は一切やらないですけどね。
コリン・モンゴメリー(1993~1999年、2005年の計8回のヨーロッパツアー賞金王)は、筋トレをやらなかったです。選手生命が長い選手でやらない人はいっぱいいます。
デービス・ラブ3世(PGAツアー21勝、うちメジャー1勝)もやってるふりしてやってなかったですね。
その時代に強かった中でやってたのは、グレッグ・ノーマン(PGAツアー20勝、うちメジャー2勝)。彼はトレーニングフェチだったから。まあ、二手に分かれるんです。やる派とやらない派に」
やる派、やらない派、それぞれに根拠や思惑があってそうなっているのだろうが、選手の好み以外に、どんな理由があって分かれていくのか?
「ムキムキになるような筋トレは、やり過ぎると関節などの鍛えられないところが故障してしまうことがあるんです。たしかにパワーはつくんですけど。
単純に筋トレでマッチョな体をつくって成功したという話は、あんまり聞いたことないです。
基礎的なトレーニングはともかくとして、故障するとその箇所とその周囲を鍛えるためにフィジカルトレーニングを始めて、理学療法、フィジカルセラピーで治していく。
アメリカの場合、故障すると選択肢はふたつなんですね。手術をするかトレーニング(フィジカルセラピー)をするか。
僕自身も左肩の回旋盤を故障したときに、アメリカの有名な医師にそのふたつのチョイスを提示されました。
自分はもともと手術とかが嫌いだったから、トレーニングで本当に治るかと聞いたら、『タケくらいの故障だったら、回旋盤そのものを治すのではなくて、周りの筋肉を鍛えることで治すことができる』と。肩回り、特に左肩は、ゴルファーは故障しやすいんです。
結論を言うと、僕はトレーニングで治しました。少し話はそれましたが、故障をしたからとか、故障を防ぐためにトレーニングを始めるケースは多いんです。
それで、やり始めると、球が飛ぶとかパワーが増すとかでみんなさらに筋トレしていくんです。
そういう中で、ちょっとナルシストな人は体をカッコよくしようとトレーニングにどんどんのめり込んでいっちゃう。
あと、やっぱり選手は不安があるとたくさんトレーニングをやりたくなるんですよね」
タケ小山氏はこう分析してくれた。