移住者を増やすための戦略は

――移住を最終目標に、という方針はいつごろからのものなんでしょうか?

私が観光協会に入ってからですね。13年前に東京からUターンしてきて協会に入ったんですけど、その時点では町のお祭りをやるだけの団体という感じでした。DIY体験やアウトドアイベントを始めたのは自分が入ってからです。
Uターンしてきたときは30歳だったんですけど、野心もあったし、自分の能力を過信しまくってましたね(笑)。こんな田舎5年もあれば何でもできるんじゃないかって。実際には5年じゃ全然足りませんでしたね。

――Uターンを決めた時から観光協会で仕事をする予定だったのでしょうか?

いえ、戻ってきて1年目は実家の農業を手伝ってました。農閑期に臨時職員として役場に出入りしてたら観光協会の仕事を紹介してもらって、そこからです。
たまたま始めた仕事ですけど、観光業ってまちづくり全般に満遍なく関わるものなので、色んな分野の人と色んなことができてすごく面白いですね。
さっき観光事業者が全然いないって話をしましたけど、道北はバブルの時期に観光が全然栄えなかったから、逆に言うとここからプラスにしかならない。負の遺産みたいな建物もないんで、新しいものをつくっていくには良い環境です。

東京から北海道の美深町にUターンした観光協会事務局長が語る、田舎暮らしの難しさと面白さ_4
BASIS 道北マップ
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2016年からはBASISというプロジェクトを始めて、美深だけでなく名寄、幌加内、下川のような近隣市町村も含めて道北の文化創造を目指してます。
このBASIS House Projectもその一環ですね。

――13年やってきて、実際に移住者は増えてますか?

増えてますね。サラリーマンやめてクラフトビールつくるとか、教師やめてスパイスカレー屋始めるとか、こっちに来て何か新しく始める人も多いです。
この施設を一緒にリノベした戸谷くんも移住組で、彼は地域おこし協力隊や林業を経ていまはカヌーのガイドをやってます。

移住先としての条件を考えると他の自治体と比べて特段良いわけではないので、観光で来てくれる人を増やすっていうアプローチは有効だと思っています。
補助金だとか待遇面に惹かれて移住してくる人はすぐ出てっちゃうこともあるんですけど、人や環境は替えがきかないんで、観光をきっかけにそこに面白みを感じて移ってくる人はそのまま定着しやすいですね。

――最後にBASIS House Projectの今後の展望を教えて下さい。

しばらくはモニターツアーを続けて、2024年頃から通常営業を始める予定です。
そろそろ次の物件が決まるので、今後のモニター参加の方にリノベーションしてもらいながら2棟目をつくっていきます。
あとはどんどんサイクルを回していって、30年後には美深町で10棟、道北全体で40棟ぐらいにしたいですね。この地域がベストパフォーマンスを発揮できる受入人数は年間2000人ぐらいだと思っているので、40棟あればその数に対応できるかなと。

このプロジェクトの過程で移住者が増えて、受け入れのキャパそのものが大きくなるようがんばりたいです。

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