人気キャラ投票で意外な人気者は?
――毎月の漫画連載をしながら、そのモザイクアートを作られていたということですよね。
はい。かなり多忙だったと思うのですが、1枚のカラーイラストにかけるその熱量が素晴らしかった。ただ、卵の殻を使った繊細な作品ではあったのですが、印刷となるとその繊細さはどうしても再現しきれないんですよね。現物を写真に撮って、印刷所にはそのポジをお渡しするしか方法がないので。
もちろん、色をできる限り再現できるように、色見本として現物を印刷所にお渡しはしますが。でも、さくら先生にとっては“卵の殻でモザイクアートを作る”というのがやりたかったことなので、印刷でどうでるかは二の次だったんですよね。その気持ちは素晴らしいなと思いつつ、あまりの繊細な作品に持って帰るのがかなり怖かったです(笑)。
――お話で印象に残っているものはありますか?
その35と36の『まるちゃん南の島へ行く』の巻(単行本6巻に収録)ですかね。それまでの『ちびまる子ちゃん』は、まる子が静岡県清水市で過ごす日常を描いていた中で、この回で新たな展開をみせてくれたなと思って、ワクワクしました。まる子が南の島で出会う少女・プサディーという新たなキャラクターが登場したり、「こういう展開もやっていくのか!」と意外でしたし、印象深いです。
――さくら先生に初めてお会いしたとき、どんな印象を受けましたか?
ふわっとしたやわらかい雰囲気の優しい感じの人だなと思ったのを覚えています。ただ、おしゃべりする内容はさすが『ちびまる子ちゃん』の作者というか、やっぱり面白くて。静岡弁のイントネーションで話す、その内容と穏やかな雰囲気とのギャップも面白い方でした。
――当時の読者からの反響で印象に残っていることはありますか?
『りぼん』という雑誌の読者層には小学生が多く、イラストを描くのが好きな子が多くて。イラスト募集をするとたくさんハガキが届いていました。
あと僕が担当編集をしているときに、『ちびまる子ちゃん』のキャラクターやエピソードの人気投票を行なっていたのですが、どれも投票数がすごく多かった印象があります。その結果ページを今みると、まる子のおじいちゃんである友蔵の人気がすごくて面白かったです。