「死亡時期」で被害認定をしていいのか?

【東日本大震災12年】「3789人の命は救えたのではないか」死者、行方不明者の20%を占める「災害関連死」をゼロにするために必要なこと_3
在間文康。1978年生まれ、弁護士。2012年に陸前高田市に赴任し、4年半の期間に2,000件以上の法律相談に対応し、被災ローン、災害関連死などの案件を幅広く担当。また災害関連死認定訴訟などに、訴訟代理人として関与
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在間 僕は、3・11からちょうど1年後の2012年3月に陸前高田市の法律事務所に赴任し、以来、仮設住宅に足を運んで法律相談を行いました。そのなかで夫を亡くした高齢女性と話しました。実は、一度、災害関連死ではないかと自治体に申請したのですが「関連性なし」と判断されていた。

ただ詳しい話を聞くと、災害と無関係とは思えなかった。彼女自身も災害がなければ、夫は亡くならなかったと考えていました。それで、再申請をお手伝いし、災害関連死と認められました。災害がなかったら、きっといまも元気に生きている。関連死の遺族は、みなそう考えているんです。

山川 そもそも関連死に認められるには、遺族が市町村に災害弔慰金を申請しなければなりません。災害弔慰金は自治体から災害遺族へのお見舞い金です。これは直接死にも、関連死にも支払われる。その後、自治体が開く審査会で、死と災害との関連性を判断される。

在間 僕も13年から3年間、岩手県山田町の審査委員を経験しました。審査委員は弁護士や医師、法学者、自治体の職員など4、5人です。山田町では個々のケースを丁寧に話し合っていきました。

山川 在間さんは、関連性の有る無しを判断する基準についてはどうお考えですか? たとえば、04年の新潟県中越地震では〝長岡基準〟が用いられ、52件の災害関連死が認められました。
長岡基準の特徴は時間で区切ること。災害後1カ月以内の死は〈震災関連死であると推定〉し、1カ月以上経過したケースは〈可能性が高い〉。半年以上過ぎれば〈震災関連死でないと推定〉とされた。3・11では、この長岡基準を参照した自治体が多かったために、被害実態とそぐわない判断がなされた。

福島にはいまだに帰還できない人も少なくないわけで、そんな状況下、時間で一律に区切っていくのはムリがあると思うのですが……。

在間 僕も画一的な基準をつくるのは不可能だと考えています。丁寧に話し合う、不明な点があれば独自に調査を行う……そうした審査の指針はあった方がいいとは思います。ですが、災害は、規模も違えば、被害実態も被災した人個々の状況も違う。画一的な支援制度では救えない被災者がいるように、すべての災害に用いられる認定基準をつくるのもムリがある。

山川 私が会った遺族も「死の意味を判断するのだから慎重に判断してほしい」と語る人が非常に多かったです。災害関連死がはじめて認められた阪神・淡路大震災から27年が経ちますが、いまだに災害関連死をめぐる問題はたくさんある。だからこそ、東日本大震災における3789件の災害関連死の実態をもう一度見直し、防災措置や支援政策、街づくりに活かしていく必要がありますね。

撮影/村上庄吾

最期の声 ドキュメント災害関連死
山川徹
【東日本大震災12年】「3789人の命は救えたのではないか」死者、行方不明者の20%を占める「災害関連死」をゼロにするために必要なこと_4
2022年2月16日
1870円
368ページ
ISBN:978-4044006303
10年にわたる取材で災害支援の道を照らすノンフィクション。

東日本大震災、熊本地震、新潟県中越地震など
阪神・淡路大震災以降の国内の災害で
「災害関連死」とされた人の数、5000人以上。
死者たちの残した声なき声をきく。
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