日本はヤンキーを“輸入”している
だが、その実態は凶悪な犯罪者というより、「何も考えていない人々」だという。
「彼らの行動原理は、90年代の日本の地方に多くいた“昔ながらのリアルなヤンキー”と非常に近似性があります。近年はマイルドヤンキーやギャルがメディアで過度に美化されて語られることが多いため、『根は真っ直ぐ、情に厚い』などのイメージを持つ人もいるでしょう。
でも、往年のリアルなヤンキーの多くは決してそうではなく、ただの『遵法意識が高くない』『後先を考えず行動する人』も多くいました。私自身もやられた経験がありますが、ゲーセンで気弱な中学生から500円をカツアゲして警察に通報されるような『ダメ感』たっぷりのしょぼい行動こそ、リアルなヤンキーの姿だったはずです」
一方、かつての日本のヤンキーやその予備軍には、建設作業や工場など二次産業の現場の重要な働き手を担う人も多かった。だが、少子高齢化の進展に加えて、学校現場で不良が生まれないようしつこく指導がおこなわれた。
結果、日本のブルーカラーの世界から多くの若いヤンキーの姿も消えることになった。すると今度は、ほぼ同じ属性の人々を外国から“輸入”することになったのが、令和ニッポンの現状というわけだ。
では人権保護や犯罪抑止のために技能実習制度をやめてしまえばいいのかというと、そう簡単にはいかない。
「先進国のなかで日本だけが賃金が伸びず、社会全体の貧困化が進んでいます。他の先進国に比べると日本の物価水準はかなり低く、ファミレスやコンビニでは、あり得ないような価格で非常に高い水準の商品やサービスが提供されています。これは技能実習制度によって人件費が抑制されている影響も大きいはずです」