30年以上の時を経て、益税論争は決着へ

Q.「消費税」という名前なのだから、やはり消費者が支払う税金なのでは?

まさにそのような誤解を狙って、「消費税」という実態とはかけ離れた名称が付けられたのではないか。そもそも事業者の売上に対する税金を「消費税」と呼んでいるのは日本だけで、世界的には「付加価値税」と呼ばれている。事業者の粗利(=売上金額 - 仕入金額)に一定の税率をかけて納税するという性質を踏まえれば「付加価値税」もしくは「粗利税」や「売上税」という名称が実態に合っているはずだ。

実際、1987年に中曽根政権(自民党 中曽根康弘総理)は現在の消費税にあたる税金を「売上税」という名称で国会に法案を提出。この際は「売上税」という名前が抵抗感を生んだことに加えて、税率が5%と高かったこともあり、国民の猛反発で廃案に追い込まれた。

その後、竹下政権が1989年に「消費税」という名称で導入。この「消費税」という名称は、全ての消費者から広く薄く徴収するという一見もっともらしい大義名分が成り立っていたため国民の反発も和らぎ、同時に「消費者は消費税を納めている」という誤解のもとになった。

このように30年以上にわたって消費税の誤解を広めてきた政府・財務省・国税庁。しかし、2023年2月10日、益税論争に終止符を打つほどインパクトのある決定的な政府答弁が飛び出した。遂に政府が「消費税は預かり金 ではない(=益税は無い)」と国会で明言。
この歴史的な答弁は後編で紹介していく。


文/犬飼淳

後編:インボイス導入根拠の論理破綻が鮮明に!「消費税は預かり金ではない」と政府が国会で認めた決定的答弁の詳細はこちら