値段は0.5mlで約1~16万円

ちなみに、現時点ではクリオスに「日本人ドナーは1人もいない」のだという。これは精子バンクに関する日本の法整備の遅れがその背景にある。

現在、日本に精子の売買を禁じる法律はないが、日本産科婦人科学会が営利目的での精子提供の斡旋を禁じている。つまり、クリオスのような民間企業の精子を扱うことには、AIDを担う医療機関側が抵抗感を持っているのだ。

「法制化の見通しが不透明ななか、日本で本格的な事業を展開するのはリスクがあるので、現在はあくまで、PR活動やロビー活動を本社の一員として行っている状況」(伊藤氏)なのだという。

そのため国内でクリオスの精子を購入する場合、外国人ドナーしか選択肢ないのが実情なのだが、では日本ではどのような精子が好まれる傾向にあるのだろうか?

「韓国、台湾、中国など、東アジアのドナーを希望する方が一番多く、続いて、白人のドナーのなかで黒もしくは茶色の髪や瞳を持つ方が人気です。これは、少しでも自分(日本人)に似た子どもが生まれるようにしたいと考える方が多いからでしょう。

そして、大部分の方がお子さんの出自を知る権利(AIDで生まれた子どもが、遺伝上の父親=精子提供者の情報を知る権利)を保障できる身元開示ドナーを選択しています」

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クリオスの公式サイトには、ドナーごとに国籍、人種、身長、赤ちゃんの頃の写真などが掲載されており、精子の購入希望者が条件に合うドナーをサイト上で選べる仕組みになっている

クリオスの精子の価格はドナーによって異なり、0.5mlで72ユーロ(約9720円)~1212ユーロ(16万3620円)。伊藤さんによると、カテーテルで直接子宮に精子を注入する人工授精の妊娠率の目安は「22%程度」だが、運動精子の数が多い精液ほど高い妊娠率を期待できるため、値段は上がるのだという。

購入した精子は、クリオスの拠点があるデンマークや米国から空輸されるため、精子本体とは別に7万円前後の送料も追加で掛かる。