無人レジの先にあるコミュニケーション創出

環境問題やフードロス対策と並び、グリーンローソンでは「省人化」と「コミュニケーションの創出」にも取り組んでいる。ここで注目したいのが、デジタル技術導入の目的はあくまで「顧客に対する接客サービスの向上」にある点だ。

「お客さまがグリーンローソンに訪れたとき、従来のコンビニとの違いを一番に感じるのは、メインのレジカウンターがセルフレジになっていることでしょう。もちろん機械の操作に戸惑われるお客さまもいらっしゃるので、その場合はスタッフがお声がけして有人レジで対応します」

また、現在は収納代行やチケット発券など無人化できないサービスもあるため、こちらもローソン初となる有人のサービスカウンターをレジ脇に設けて対応する仕組みを導入する。店舗内で作業するクルーは最低2人となるものの、従来よりもレジ接客業務の割合が大幅に減ることで、売り場やサービスカウンターで顧客の買い物をサポートする「おもてなしクルー」としての役割が高まるという。

さらに、おもてなしをサポートするのは店舗にいるクルーだけではない。店舗出入り口のディスプレイやセルフレジの端末では、「アバター」のオペレーターによってレジ操作やおすすめ商品を案内する仕組みが導入されている。

アバターとして勤務するのは、時間や場所、身体的障がいや生活スタイルなどさまざまな理由でこれまで接客業に参加できなかった人たちが中心だ。「全員参加型社会」を目指すローソンでは、昨年アバターの公募を実施し、主婦やVtuber、ローソン勤務経験者など約400人の応募があり、グリーンローソンではこのうちの約30人がリモート勤務で店舗運営のサポートをしているとのことだ。

「対面の接客が苦手でも、パソコンの画面越しであればコミュニケーションを取れる人もいます。また最初はアバターに驚いていたお客さまも、何度か来店するうちに画面のアバターに話し掛けたりするなど、新しい形のコミュニケーションに親しまれている様子もありました」

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アバターによるリモート接客を導入。レジ操作のサポートやおすすめ商品を案内してくれる

そのほかにも、自宅で不要になった紙袋を買い物用にリユースする「リサイクル紙袋」や、豊島区と連携して各家庭の余った食品を寄付する「フードドライブ」、衣類のリサイクル回収など地域の住民と密着して行われる取り組みなどが実施されている。

「ローソンはお客さまへの約束として、『圧倒的な美味しさ』『人への優しさ』『地球(マチ)への優しさ』の3つを掲げています。グリーンローソンにおける新しい取り組みも、この約束を実現するためのもの。地域の皆さまとの温かみのあるコミュニケーションを目指しつつ、さまざまなご意見をお寄せいただくことで未来のコンビニのあるべき姿に近づけると考えています」

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セルフレジコーナーがメインに据えられ、スマホによるレジ決済などデジタル化が推進される
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グリーンローソンでは既存のチルド弁当や常温弁当も冷凍販売用に仕様変更して食品ロス削減を目指す
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取材・文/栗原亮(Arkhē)
写真提供/株式会社ローソン