「本当の喧嘩なんてのは、表じゃやらねえんだよ」
――確かに、あのシーンはかなりの緊張感がありました。
その数分前まで椅子を投げたり、他の参加者を蹴ったりと暴れていた純士が、急に僕に謝っている。朝倉君が「仲村さんがやりたいって言ってるけど、瓜田君はどうですか?」って質問したら、「俺はもうコイツとは一生関わらないって思ってました」って純士は答えていて。戦うかどうかを聞いているのに、「関わらない」って、返事もおかしくなっている。
というのも、僕が来ることが純士には事前に伝わっていなかったらしく、ああいうリアクションになっちゃったと。本人は運営にかなり怒っていたみたい。
――かなり“ガチ”の雰囲気だったのですね。
「“本物”が来ちゃった」と、会場も凍りついていた(笑)。編集でカットされている部分も多くて、にっけん君の「ケンカ無敗ですか? ケンカとかしたことありますか?」に対して、「いい質問するね。本当の喧嘩なんてのは、表じゃやらねえんだよ」で映像では止まっているんですけど、実はその続きでもっと怖いことを言っていて。
「本当の喧嘩ってのは、誰もいない山奥の防犯カメラもないところに連れて行って、髪の毛1本、髭1本、DNAも一切残さずに、10秒間でケリをつけて、あとは平れ伏させるんだよ。俺はそんくらいやる人間だけど、それでもいいなら」という話をしたんですよ。
そうしたら、みんなシーンとしちゃって。オーディションが終わった後、他の参加者も「仲村さん、あれ言っちゃうと多分切られますよ」って。案の定カットされたんだけど(笑)。
――その啖呵は怖すぎます(笑)。
僕の登場前に純士の相手が決まってしまっていたから、「もうストーリーがなくなっちゃったけど、朝倉さんどうする?」って聞いたら、「でも仲村さんは面白いから、ぜひ試合はしてほしい」と。それで、オーディションで僕の隣に座っていたカンさんという韓国人との試合が決まった。
「まあ、試合ができればいいか。次あたりで純士とできるだろう」って思っていたら、運営から何の連絡もなくて。それが『BreakingDown 6』でのYUGOさんとの試合に繋がるわけです。
#4に続く
♯4ヤクザとも渡りあってきたバン仲村のアツい想いに続く
♯1バン仲村の知られざる半生はこちらから
♯2 瓜田純士との出会いと事件の全真相はこちらから
取材・文/佐藤麻水
撮影/浅井裕也