グウィネス・パルトロウの出演作の中では『アイアンマン』(2008〜)シリーズが有名かもしれませんが、残念ながら私は見ていません(笑)。仕事で会った経験もないけれど、1本挙げるとすると、やっぱり『恋におちたシェイクスピア』(1998)かしら。
史実やシェイクスピアの戯曲をうまく絡めながら、若き日のシェイクスピアとグウィネス演じる上流階級の娘との恋をロマコメに仕上げるなんて、すごい想像力だなと思いました。
お父さんが映画プロデューサー、お母さんが女優のブライス・ダナーという芸能一家に生まれたグウィネスは、演じた役柄と同じく、いかにもお金持ちのお嬢様という感じ。『セブン』(1995)で共演したブラッド・ピットとは婚約までしていたし、『恋におちたシェイクスピア』で共演したベン・アフレックとも一時期付き合っていて、本当に恋多き女というイメージでした。
この作品でアカデミー主演女優賞を受賞したときも、新人女優としてとても注目を集めていたことを覚えています。お話が本当によくできていたし、中世の衣装も素敵。面白くておしゃれな映画だったわね。
それにつけても、日本の時代劇、史実をただなぞるだけでなく、こういう破天荒な、おしゃれなドラマを見せてくれたら楽しいのに…と、つい思ってしまう私です。

ブラッド・ピットやベン・アフレックと浮き名を流した恋多き女、グウィネス・パルトロウ。戸田奈津子「恋に落ちたシェイクスピアは日本の時代劇も真似して欲しいオシャレで素敵な一作です」
字幕翻訳の第一人者・戸田奈津子さんは、学生時代から熱心に劇場通いをしてきた生粋の映画好き。彼女が愛してきたスターや監督の見るべき1本を、長場雄さんの作品付きで紹介する。
長場雄が描く戸田奈津子が愛した映画人 vol.21 グウィネス・パルトロウ
アイアンマンは見ていません(笑)
『恋におちたシェイクスピア』(1998) Shakespeare in Love 上映時間:2時間3分/アメリカ
『ロミオとジュリエット』を製作中ながらスランプに陥った劇作家シェイクスピア(ジョセフ・ファインズ)は、オーディションにやってきたトマス・ケントの演技に目を止める。実はトマスは、芝居好きの資産家の娘ヴァイオラ(グウィネス・パルトロウ)が、女性の演劇出演のタブーを破って男装をした姿だった。ふたりはたちまち恋に落ち、男装のヴァイオラ主演で芝居の製作もはかどる。が、ヴァイオラは、親の決めたウェセックス卿(コリン・ファース)との結婚を目前に控えていた。
グウィネス・パルトロウ
1972年9月27日生まれ、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス出身。父はプロデューサーのブルース・パルトロウ、母は女優のブライス・ダナー、弟は映画監督のジェイク・パルトロウ。1991年に『過ぎゆく夏』で映画初出演を果たした。1995年にブラッド・ピットの妻役として出演した『セブン』(1995)で注目を集め、『恋におちたシェイクスピア』(1998)でアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞などの主演女優賞を受賞した。主な出演作は『リプリー』(1999)『愛しのローズマリー』(2001)『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』(2001)『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』(2005)『アイアンマン』(2008〜)シリーズなど。
語り/戸田奈津子 アートワーク/長場雄 文/松山梢
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