野々村真に訪れた看板番組のリニューアル
2023年1月から『世界ふしぎ発見!』(TBS)の番組フォーマットがリニューアルされた。ネットニュースにもなっていたのでご存じの方も多いと思うが、回答者一人一人が自席のモニターに答えを書いていく方式から、ワイワイガヤガヤと好き勝手に答える方式に変わったのだ(回答方式で言えばNHKの『有吉のお金発見 突撃!カネオくん』に似ている)。
その結果、スーパーヒトシ君人形を使うことも、ボッシュートもなくなってしまい、長年の『ふしぎ発見!』ファンからは残念という声も上がっている。
しかし過去にも『ふしぎ発見!』はわりと頻繁にクイズ方式の変更を行っている。
視聴者からの電話投票を取り入れたり、トップ賞がなくなったり、スーパーヒトシ君人形が廃止されたりということは以前もあった。したがってクイズルールそのものの変更はさほど大きいニュースではない。
大きいのは出演者の回答方法がワイガヤ方式になったことにより、これまでわりと平等に与えられていた回答者の発言機会が偏るようになってしまったということである。
1月14日のリニューアル初回、大きく3問の問題が出されたが、何と野々村真の発言が使われたのはわずか1回だけ。これは大変に衝撃的なことだ。
野々村の専売特許であったはずのボケ回答の役回りは芸人に奪われ、使われた発言も毒にも薬にもならないもの。ワイプで顔が映ることすら他の出演者と比べると少なかった気がする。
いいとも青年隊では末っ子ポジション、家庭では恐妻家、『バイキング』(フジテレビ)では坂上忍のかませ犬。野々村真は常に「弱い側」「ダメな側」にいることで、守られてきた。
1986年の『ふしぎ発見!』開始当初から36年半も出演し続ける「真くん」も、これまではしっかり役回りと時間が与えられ、ある種守られる存在だった。そんな彼が一時の『開運!なんでも鑑定団』(テレビ東京)の石坂浩二のように完全に居場所を失っている。これは由々しき事態である。
ついては、番組功労者である野々村真の功績を振り返るとともに、彼の復活を切に願うのが本稿の趣旨である。