次の十年のために休筆した一年
―― 最後にお聞きしたいんですが、二〇二三年は作家生活十五年です。どんな感慨をお持ちでしょうか。
あっという間でしたね。三十五歳でデビューしたんですけど、「あれ、もう五十歳になってしまう」という感じです。作家としての自分はぜんぜん歳を取った感じがしない(笑)。でも、小一だった子供が成人式を迎えたので、プライベートでは明らかに年月が経ったことを日々実感しています。日常生活があったからこそ、きちんと時が流れていることを意識して生活を送れてきてたんじゃないかなと思いますね。
―― 二〇二二年は休筆されましたが、どのような一年だったでしょうか。
休ませてもらったのも、このままのペースで走り続けたら、体力的にあと一、二年で潰れてしまうなと思ったからなんです。次の十年、長距離を走るために一年休もうと思って、本を読み、演劇やミュージカル、映画をたくさん見に行くことができました。最初は純粋にほかの人たちの創作物を楽しんでたんですが、だんだんと「やっぱり書きたい」と思うようになりました。じっくり充電できたので、この一年の経験が創作への糧になったと思います。今年、執筆を再開しますので、期待して待っていてください。