禁断の恋の沼入りした男たちはいとも簡単に泣くように

ドラマを見ていて「うわ〜」とムズムズするようになったのが「不倫男性の軟弱化」が顕著に見られたことだった。女性側がめきめきと強くなったと思ったら、男性側はいつの間にか乙女ぶって、ずるさを見せつけるようになっているではないか。

『東京タラレバ娘』(日本テレビ系列・2017年)は不倫ドラマではないけれど、ヒロイン三人のうちの鳥居小雪(大島優子)が、既婚者、丸井良男(田中圭)と恋仲になってしまう。相手は妻が妊娠中という、もはやデフォルトになりつつある不倫設定だ。
丸井が妻の急変に駆けつける様子を見て、別れを決意する小雪。「(別れるなんて)いやだよ……」とすがる丸井。いい感じのクズっぷりを田中圭が好演していた。

『あなたのことはそれほど』(TBS系列・2017年)では、有島光軌(鈴木伸之)はまるで子どものいたずらのように浮気をして、妻も恋人も捨てられない。前出の『シジュウカラ』の夫もそうだった。綿貫忍よりもひと回り年上の、団塊世代ベビーは当たり前のように家事もしないし、妻は自分の家政婦状態。それが妻の自立と恋によって捨てられそうになると、未練タラタラで「別れたくない」と忍に懇願していた。かつては自分も浮気をしていたのに。

書いているだけで呆れてくるけれど、この夫のクズっぷりもドラマにハッピーエンドをもたらすようになった理由のひとつだと思う。昭和、平成前期の不倫ドラマは最終的に離婚だ、慰謝料だ、逃亡だと悲劇的な終焉がほとんどだったのだから。