全日本大会を5連覇、北京オリンピックでは5位に入賞するなどの成績はもちろん、その美貌も相まって、一躍人気者となった元バドミントン女子日本代表の小椋久美子さん。
2010年に現役を引退したあとは、スポーツキャスターや解説者として、バドミントンの魅力伝える活動をする傍ら、時間を見つけては日本全国の山へ登り、自然との対話を楽しんでいるらしい。現在のハッピーな日常生活について聞いてみた。
地元三重の山を眺めていた時に
「私、山に呼ばれている!」
―小椋さんは現在、登山に熱中しているとお聞きしました。いつ頃から山に登るようになったのでしょうか?
きっかけは、6〜7年前に初めて富士山に登ったことでした。当時のフットサル仲間が、「富士山に登るんだけど、一緒に行かない?」と誘ってくれて。前々から人生で一度は富士山に登らなきゃと思っていましたし、富士山に登ることで何か大きな達成感を味わえるんじゃないか、自分の中の価値観がガラッと変わるんじゃないか、と思って挑戦してみたんです。
なので、最初は登山自体に興味があったわけではないんですよ。
―あくまで“アスリート”的な気持ちで富士山に臨んだ、と。
まさにその通りで、富士山を登り終えてからも、山に対しては全然ハマっていませんでした。フットサル仲間が登山部を組んだのですが、私はタイミングさえあれば一緒に行くくらいで。「どうしても山に登りたいから行く!」というよりも、そのメンバーと一緒にいる時間が好きで、彼らと同じ時間や目標を共有して達成する、ということが楽しくて参加していたんです。
だから、その頃は下山が本当にツラくて…。「せっかく登頂したのに、なんで大変な思いをして下山しなくちゃいけないの!」と登るたびに思っていました(笑)。
―それから本格的にハマるのに、何かきっかけがあったのでしょうか?
意識が変わったのは、コロナ禍で三重県に拠点を移したとき。もともと一人旅も好きで、旅先を選ぶ際にも「緑が豊かなところ」を条件にするほど自然が好きでした。コロナ禍で戻った地元である三重県の山々を眺めていたときに、「あ、山に呼ばれている」とビビッと感じたんです。
精神的に追い込まれているわけではなかったのですが、そのときの私には山がキラキラと光って見えて…。とても不思議な感覚だったので、今でもハッキリ覚えています。
―それから1人でも登るようにもなったんですね。
はい。フットサルの登山部は都内近郊に住むメンバーで組んでいたので、三重県に拠点を移した私には一緒に登ってくれる人がいないなぁと。そこで、まず女性1人で山に登っている人がいないか、Webで検索してみたんです。するとやっぱりたくさんいらっしゃって。それなら私もチャレンジしてみよう! と思い立ちました。
私の自宅の近くには山がいくつかあるんですが、まずはその中から標高400〜500m程度の低山に一度挑戦してみて、向いているかどうか調べようと。
その山には緩めのハイキングコースや長距離を楽しめるコースなどいろいろなルートがあるのですが、私は比較的しっかりとした登山を味わえる「健脚コース」を選びました。とても短いコースだったんですが、その山を登ったことで「これならイケる!」と思うことができて、今ではすっかりライフワークのひとつとなりました。