ザ・ノース・フェイス、ティンバーランド、リーバイス……。
アウトドアブランドとワークウェアブランドのロゴにも不思議がいっぱい

雄大な自然を幾何学的に表現
THE NORTH FACE ザ・ノース・フェイス


1966年に米・サンフランシスコで、ダグラス・トンプキンスと妻スージーによって設立されたザ・ノース・フェイス。
現在もアウトドアシーンのみならず、日常のカジュアル着やバッグも人気があり、ロゴマークを大きく配した製品も多いので、そのマークはすっかりおなじみだろう。

マークが制作されたのは、創業から3年を経た1969年。ロゴのデザイナーについては諸説あるが、当時の経営者、ハップ・クロップであるというのが有力。

改めて見てみるとなかなか不思議なこのマーク、一体何を表しているのかといえば、 “ヨセミテの雄大な自然”がモチーフとのこと。
ハーフドームやヨセミテフォールズなど、ヨセミテの自然からインスピレーションを受けて図案化されたのだという。

ザ・ノース・フェイスというブランド名は“北壁”という意味。
北半球の冬登山において、北壁がもっともハードなルートであることにちなんで付けられた。
ロゴマークもブランド名と同様、険しくも雄大な自然を表現しているのだ。

ラコステのワニ、アディダスの3本線…見慣れたマークたちには実は深い意味がある。ブランドロゴのひみつ_12
幾何学的な模様に隠された意味。photo:Sato Seijiro

自然を愛するブランドの象徴
Timberland ティンバーランド


ティンバーランドは1952年にボストンで設立された、アメリカを代表するアウトドアブランド。
アウトドアグッズやウェアが販売され、ブーツが特に有名である。

現行のロゴマークが作られたのは1973年のこと。
この年は、その後長年にわたり、ティンバーランドの代表的アイテムとして愛される6インチプレミアムブーツ(通称イエローブーツ)が誕生した年でもある。

ロゴマークのモチーフは一目瞭然の「木」だ。
これには、自然を背景に生まれ、自然を愛するブランドの象徴であること、また森林で働く人のために作られたブーツでもあるという意味が込められている。

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ティンバーランドといえばこのマーク。photo:Dark Dwarf/flickr

ブランド名もロゴマークも化石に由来
ARC'TERYX  アークテリクス


1989年にカナダのブリティッシュコロンビア州ノースバンクーバーで創業したアークテリクス。
特徴的なロゴマークは、始祖鳥の骨の化石がモチーフだ。
断崖絶壁に張り付くように暮らしていたと言われる世界最古の鳥類である始祖鳥は、これまでに世界各地で化石が発見されているが、その中でもっとも状態が良いベルリン標本をもとにしている。

そしてアークテリクスというブランド名自体も、始祖鳥の学名・アーケオプテリクス・リトグラフィカ(Archaeopteryx litographica) が由来。
共同創業者であるデイブ・レインとジェレミ・ガードは、ともにクライマー出身だったので、『岩を登り自由な空へとはばたいていく、進化過程の鳥』に自分達を含むクライマーの姿を重ね、ブランドのシンボルにした。
進化を加速することで、アウトドアにおける人間の進歩の推進に役立つという思想を象徴しているロゴマークなのだ。

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始祖鳥の化石そのまま、アークテリクスのロゴマーク。photo:MIKI Yoshihito/flickr

商品の頑丈さをアピール
LEVI'S リーバイス


リーバイ・ストラウス社は1853年、アメリカで主に金鉱や港湾で働く人の作業用パンツの製造販売をおこなうために設立された。
1873年には金属リベットによる衣服の補強方法に関する特許を取得。また同年、バックポケットの裏側に補強布を縫い付けるためアーキュエットステッチが施されるようになる。

1886年には、2頭の馬がジーンズを引っ張りあっている“ツーホース”と呼ばれるトレードマークが誕生する。
これは、パンツの耐久性を高めるために金属リベットを使用するという特許が1890年で切れるため、その後にも商品の頑丈さをアピールする品質保証書として考案されたものだった。

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ジーンズに施される、リーバイスのツーホースロゴ。photo:ape aje ade disini/flickr

ワークウェアブランドであることの矜持
Dickies ディッキーズ


長い歴史を持つアメリカのワーク系カジュアルブランド、ディッキーズ。
前身となる会社が設立されたのは今から100年以上前の1918年だが、ロゴマークが制作されたのは1954年のこと。モチーフとなっているのは、「牛のくびき」である。

くびきとは牛馬と車をつなげるときなどに、動物の首につけて固定する道具のことで、Dickiesの「D」を牛のくびきに見立てたデザインだ。
ワーク系ブランドの矜持として、労働現場の重要な道具のひとつをロゴマークにしているのである。

文/佐藤誠二朗

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労働現場の道具をロゴマークにしたディッキーズ。photo:Thomas Hawk/flickr
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