世界一有名なワニをはじめ、スポーツブランドのロゴに隠された深い意味

「ワニ」と呼ばれた創業者にちなんだロゴ
LACOSTE ラコステ


世界でも指折りの有名ロゴマークであるラコステのワニは、ブランド創業者のニックネームが起源だ。

1920年代を中心に活躍し、グランドスラムと呼ばれるテニス4大大会のうち、フレンチオープンで3回、ウィンブルドンで2回、USオープンで2回という輝かしい優勝経歴を持つフランス人テニスプレーヤーのルネ・ラコステ。
彼のことを最初に「ワニ」と呼んだのは、1925年ボストン大会でのプレーを見たアメリカのメディアだった。

試合直前、ボストンの街を散歩していたところ、ある洋品店のショー・ウィンドウに飾られていたワニ皮のスーツケースに惹きつけられたルネ。
そんな彼にチームのコーチは冗談まじりで、「もし君が試合に勝ったら、このスーツケースを買ってあげよう」と約束した。

結局、試合には負けてしまったのだが、取材でこのエピソードを聞きつけたボストン・イブニング・トランスクリプトの記者が「若きルネ・ラコステはワニ皮のスーツケースは手に入れられなかったが、ボールに食らいついていく彼のプレースタイルはまるでワニのようだった」と報じる。
こうしてルネはアメリカではアリゲーター、フランスではクロコダイルと呼ばれるようになる。

その後、1927年デビスカップでの優勝時に、ルネは友人から46色の糸を使ったワニマークの刺繍入りブレザーをプレゼントされる。
それが元となり、1933年のブランド創業時に作られた襟付きニットシャツ(ポロシャツ)の胸元にも、ルネはワニマークを採用したのだ。

ラコステのワニ、アディダスの3本線…見慣れたマークたちには実は深い意味がある。ブランドロゴのひみつ_05
なじみ深いラコステのロゴマーク。photo:Thomas Hawk/flickr

テニスの神様の華麗な経歴に由来
FRED PERRY フレッドペリー


1920年代のテニスヒーローがルネ・ラコステなら、1930年代のそれは、イギリスで“テニスの神様”と崇められたフレデリック・ジョン・ペリーだ。

フレデリックが引退後に創業したブランドであるフレッドペリーのマークは、古来、競技の優勝者に与えられた「月桂冠」がモチーフ。
もちろん、ウィンブルドンおよびデビスカップでの4度の優勝というフレデリックの華麗な経歴に由来している。

とはいえブランド創業当初、愛煙家だったフレデリックが最初に考えたマークは一本のパイプだったそうなのだが、オーストラリア人の共同経営者がなんとか思いとどまらせたという逸話が残っている。

その後、何百もの案をボツにしたあと、「ウィンブルドンの優勝メダルに刻まれた月桂冠」という名案が生まれ、1952年にこのロゴマークが採用された。

ラコステのワニ、アディダスの3本線…見慣れたマークたちには実は深い意味がある。ブランドロゴのひみつ_06
月桂冠がモチーフのフレッドペリーのロゴマーク。photo:Wind Koh/flickr