愛国心と家族の絆
le coq sportif ルコックスポルティフ


フランスでもっとも古いスポーツ洋品メーカーとして1882年に創業したルコックスポルティフ。
ルコックはフランス語で“雄鶏”を意味する。

ロゴマークの登場は1948年。
雄鶏はもともと、フランスに移住してきたガリア人の旗印であり、現在もフランスの国鳥とされている。
創始者であるエミール・カミュゼが、姉と父とともに、事業を3人で支えていたので、それを象徴する三角形で、母国のシンボルであり、ブランド名の由来ともなっている雄鶏を囲んだ。

そしてブランド生誕140年を迎えた2022年にルコックスポルティフはロゴを刷新。
枠にとらわれない姿勢を示すため旧来の三角形を廃すとともに、雄鶏マークは左向きから右向きに変更された。

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ルコックスポルティフの旧ロゴ。photo:Sato Seijiro
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2022年に発表されたルコックスポルティフの新ロゴ。photo:Atlético/flickr

一本線に秘められた歴史
Champion チャンピオン


「目玉」のようなチャンピオンのロゴマークは、「Champion」の「C」の字が図案化されていることは一目瞭然だが、真ん中のラインは何?と思わずにはいられない。

ブランドの歴史は20世紀初頭まで遡る。
今も愛用者が多いチャンピオンのスウェットパーカーは、米軍学校の体操着としてスタート。1924年にミシガン大学のスポーツ部に採用されてから人気に火がつき、その後はスポーツ用というよりもカジュアルアイテムとして親しまれてきた。

ブランドのロゴマークは、1950年代までは、ゴールテープを切る瞬間のランナーの姿のシルエットだった。
しかし1960年代に入ると、そのランナーの絵は簡略化されて「C」の字の中に描かれるようになる。
そして1969年にロゴマークを一新。「C」の中にいたランナーは、ついに一本のラインで表現されるようになったのだ。

1970年代中には、現在のチャンピオンのロゴとして親しまれる赤・青・白のトリコロール配色も生まれ、ロゴマークは完成した。

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チャンピオンのロゴマーク、真ん中の線には意味がある。photo:Sato Seijiro

日本の浮世絵がルーツ
Quiksilver クイックシルバー


オーストラリアで1969年に発足し、現在は米カリフォルニア・ハンティントンビーチを本拠地とするサーフ&スノーブランドのクイックシルバー。
波と山をモチーフにしたロゴマークは、葛飾北斎の版画「富嶽三十六景《神奈川県沖浪裏》」をモチーフにしたものだ。

創業者が北斎の絵を見て、「これこそ自分たちのライフスタイルを象徴するものだ!」と感銘を受けたことから、このロゴが作られたのである。

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日本と深いゆかりがあるクイックシルバーのロゴマーク。photo:Chris Elt/flickr

誤解から生まれたロゴマーク
KANGOL カンゴール

1938年、イギリスのカンブリア州・クリーターに設立されたカンゴール。
ブランド名は、上質素材であるSILKの「K」(ニット「KNITTING」の「K」であるという説もある)、ANGORAの「ANG」、WOOLの「OL」を合体させた造語で、実は動物のカンガルーとは関係がない。

創業から40年以上が経過した1980年代初頭、カンゴールはアメリカ・ニューヨークのヒップホップ界隈でにわかにブームとなる。
するとブランド名をうろ覚えのイギリス人の若者が、「好きなラッパーがかぶっている、あのカンガルーの帽子」を求めてショップを訪れるようになったことから、1983年にカンガルーマークが採用されたのである。

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カンゴールといえば、今やこのロゴマークが目印。photo:Sato Seijiro