“どの学校でも好きな学びを突き詰められる”
学習環境を名古屋モデルに

現在、調査書(内申書)で評価を得にくく、高校入試で志望する高校を目指すのが難しいと考える子どもと保護者が、戦略的に中学受験をして中高一貫校に進学するケースもある。それについては坪田氏も認識している。

「私立中学の選択肢が多い都市部では、そのようなケースも珍しくないと思います。私自身はそれもまたひとつの考え方とはとらえています。6年間かけて能力を伸ばしてくれる中高一貫校や、好きなことをとことん突き詰められるような教育を行っている学校もありますので、子どもによっては私立中学に進学したことで進路の幅が広がることもあるでしょう。それよりも問題なのは、公立高校の受験、進学が偏差値で輪切りになってしまっていることではないでしょうか」

地域のトップレベル校に進学できればいいが、いわゆる下位校に進学すると大学進学がぐっと難しくなり、将来の選択の幅が狭まるという現状があることは否めない。

「家の近くの公立高校に進学して、自分の好きな勉強を高校でひたすらやって、それをさらに伸ばすために大学に進学できる……そういった学習環境を整える時代に来ていると思います。

今はタブレットPCを使ってオンライン授業も受けられるのですから、民間事業者と提携してハイレベルな数学の授業を受けてもいいし、他の学校でやっているファッションやデザインの授業を受けてもいい。

まだ私の頭の中にしかない構想ですが、名古屋市にある14の市立高校が連合体となって、どの学校に入っても自己実現できる環境を整えることは、個別最適な学びを進めるうえで、学校がどうあるべきか、さらには入試制度がどうあるべきか、全国へのメッセージになると考えています」