骨身を惜しまないことが喜びへとつながる
以前仕事でご一緒した有名なネイリストの方がおっしゃっていました。
「いいネイリストになれる子はね、〝私、ネイルもアートも大好きでこんなに上手にできるんです″という子じゃないの。他人をキレイにしてあげることに大きな喜びを感じられる子なの」
くーーーっ。名言、ここにあり。
編集者の仕事にもちょっと共通するものがあります。
なので、就活中の学生さんや編集志望の方に
「編集者になりたいんですが、必要なのはどんなことですか?」
と聞かれたら、私は必ず
「表舞台に立つ人のために骨身を惜しまず尽くせること」
と答えています。
たくさん本を読んでいるとか、文章を書くのが好きとか、雑誌や漫画が死ぬほど好き、などもとても大切で有利な資質です。
でも、ただ文章を書くことだけが好きなら、作家やコラムニスト、ライターをめざしたほうがいいし、本をたくさん読むことを仕事のメインにしたいなら書評家をめざしたほうがいいのかもしれません。
だって、EMANONだから、編集者。
なのに編集長、前に出ていかなくちゃいけないの?? 困ったなあ。
時代は変わる、メディアも変わる
デジタルやSNSの圧倒的普及で、コミュニケーションの取り方もメディアの形態も大きく変わってきています。
特に2014年のInstagramの浸透は、人々の発信、表現とのかかわりを大きく変える契機となりました。そして今は、有名人でなくてもメディアのサポートがなくても、誰もが自由に発信できることが当たり前の時代です。
無名の方のツイートが10万人以上の支持を得たり、SNS上で無料で公開していた漫画が出版社の目にとまって単行本化されたり。
そう、NO NAMEな人たちが表舞台に出ていくハードルがぐんと下がり、機会は増えている。で、これもまた、EMANON編集者の黒子魂をくすぐるわけです。ああ、この人のこのつぶやきをまとめたい、このイラストで漫画を描いてほしい……。
そんなこんなで、ありがたくもサポートすることができた作品が世に出ていくときの喜びたるや、ハンパないですから。本も雑誌もウェブコンテンツもしかり。
だから前に出ていくのはなんだかなあ、と思いつつも、きっとこのアドバイスをくださった編集長も同じ気持ちをたくさん経験してきたはず。そのうえに立つ金言なり。
そして、担当するメディアや作品の普及のために編集長のみならず編集者たちも、さまざまな機会やツールを駆使して発信していくべきなのは、時代の流れにフィットしていることは間違いないわけで。すでにそうした活動を精力的にこなしている新時代の編集者たちはたくさん登場しています。
よし、己も頑張らねば! と肝に銘じつつも、表舞台に出ていくのはなーんかまだ気がひけるものですから、こんなブログもどきでお茶を濁している小心者の私です。
2022.4.22