小学校以来の友達が見つけてくれた、
高年式・高走行距離ながらエンジン快調のエブリイ

計画をさらに進行させよう。
思い切りカスタムするとなると、選ぶクルマはおのずと絞られてくる。
年式は古くてもいいから、躊躇なく手を加えられる安い中古車。
できるだけシンプルなクルマの方が、自分の創意工夫をぶつけやすいだろう。
とすれば、ベーシックグレードの商用車=貨物バンがいい。
でも、故障ばかりだとやる気が損なわれるし、修理代がかかってさまざまな計画が飛んでしまう。

オークションサイトには非常に安価な中古車が出品されていて心惹かれるけど、クルマの素人である僕には、その良し悪しが皆目わからない。
値段や見た目に釣られて変なのをつかまされたら大変だ。
ああ、どうしよう。

あ、あいつがいるじゃん。

悩んでいた僕の頭に浮かんだのは、小学校以来の友達であるナンちんの顔だった。
バイク好きのナンちんは高校卒業後、僕らの地元である東京・東久留米市にあるスズキのバイク販売店で働いていたのだが、数年前にその店が閉業したため、今はスズキ自動車販売に移っている。あいつに頼めば、きっと条件に合うクルマを探してくれるだろう。
スズキには、エブリイという貨物用軽バンの名車があるのだ。

たまたまその週末に同級生の集まりがあったので、僕はさっそく「コレコレコウイウわけで、エブリイの中古車を探しているんだけど」と聞いてみた。
ナンちん「条件は?」
僕「込み込み30万以内。年式、走行距離は不問。どうせカスタムするからボロボロでもいい。でも旅をするから、故障せずにちゃんと走れるやつがいいな」
ナンちん「いま、エブリイ人気だからな。いいのあるかな? 難しいかもよ」

ナンちんによると、Amazonをはじめとするネット通販全盛期のいま、個人で輸送業をはじめる人が増加していて、エブリイのような貨物バンは、いい中古車があるとすぐに売れてしまうのだという。
僕「なるほど。まあ、なる早で。いいのが見つかったら連絡ちょうだい」

これは長く待たされるのかなと思っていた僕の意に反し、連絡があったのは翌日だった。
やはり、持つべきものは友である。
ナンちんが紹介してくれたのは、立川市にある自動車整備・新車&中古車販売の個人営業店だった。

平成22年式スズキ・エブリイ(EBD-DA64V)の走行距離は146,500kmだった。
内装はそれなりの傷みが見られるし、かなり汚れている。外装もあちらこちらに傷や凹み、タッチペンの跡などがある、まあ言ってみればポンコツだ。車検は切れている。
多分、自力で見つけたクルマだったらパスしていたかもしれない。
でもナンちんは「ボロいけど、エンジンは快調らしいよ。この車屋さんはちゃんとしているから、整備も任せれば安心だし」と言う。

車中泊は、いまのニッポンの最先端サブカルなのだ!_2
よりによって雨降りの夜に現車確認したエブリイ(左)と、車内をチェックするナンちん(右)

そうか……。
僕が出した諸条件は、確かに満たしている。
見積もりを頼むと、本体88,000円、車検整備費88,095円、重量税、自賠責、登録料など諸経費込みで、合計243,605円という返事がきた。