セブン-イレブンのおでんへのこだわりとは?
このようにコンビニおでんが厳しい状況にあるなかで、実際、各社はおでんをどのように展開しているのだろうか。以前は各社共に日本全体を7~9エリアに分けて、出汁の味を変えたり毎年新しい具材を出したりしていたが、ローソンとファミリーマートはコロナ禍を機に出汁の地域分けをやめたと柳生さんはいう。
「ファミリーマートは出汁の味を東日本・西日本に分けるだけになりました。ベースは焼津鰹節や枕崎鯖節、長崎のいりこを使用していて、東日本はかつおぶし強めで西日本は昆布強めの出汁にしています。そして、ローソンは昆布と鰹の出汁に全国統一しました。これまでは地域によって出汁の味わいが異なるのもコンビニおでんの魅力のひとつだったのですが、近年ではその対応が各社で異なっています」
一方、セブン-イレブンは全国での出汁の地域分けを継続していて、鰹と昆布の出汁を基本として、北海道は煮干し多め、東北・信越はイワシの焼き干し、関東は宗田鰹節、東海はむろ節、関西・北陸は昆布・鶏・牛、中国は煮干・牛・鶏、四国は煮干・鶏・牛 煮、九州・沖縄はあご・椎茸・鶏と、今でもそれぞれの地域に合わせて味を変えている。
「セブン-イレブンはコンビニおでんの販売を最初に開始した元祖の存在で、1977年から45年もの間、おでんを販売し続けています。現在でも唯一、地域ごとに出汁の味わいを変えるエリア分けを続けていることや、こんにゃくに入っている細かな切れ込み、人気具材のたまごや大根にしっかり味が染みるようにとほどこされた細かなひと手間や工夫などに、元祖のプライドやこだわりを感じますね」
コンビニおでんにとっては厳しい状況だが、おでん自体の需要がゼロになったわけではない。冬になれば温かいおでんが恋しくなる人は少なくないだろう。そんな要望に応えるべく、コンビニ各社は店頭販売に代わって、レトルトやチルドのおでんを販売するようになった。
「レトルトタイプのおでんは長期間の常温保存が可能なため、在庫管理しやすいのが特徴です。また消費者側にとっても買い置きができるので、保存用として“ついで買い”ができるのも大きいですね。温めればすぐ食べられるのも嬉しいポイントです」