世界で2台しかない希少な戦車

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コンテナで運ばれた九五式軽戦車
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これは1935年に旧日本陸軍が制式採用した秘匿名称ハ号こと、九五式軽戦車。車体番号「4335号車」で、太平洋戦争中はミクロネシア連邦ポンペイ島へ派遣され、戦後は日本へ返還されて京都嵐山美術館に展示されていた。

しかし、1991年に京都嵐山美術が閉館し、その後国内の美術館に移管されるが、あえなくそこも閉館。それをイギリス人のミリタリーマニアが買い取り、長らくイギリスで保管されることに。

それを知った、静岡県内で自動車整備工場を営む、NPO法人「防衛技術博物館を創る会」の小林雅彦代表(52)は、10年程前よりイギリス人から九五式軽戦車を買い取るプロジェクトを始動。それが成功して今回、再び日本に里帰りすることになったのだ。
この里帰りは「すべてがギリギリでした」と小林代表は語る。

「イギリスからの運送費用は100万円ぐらいなら自分でなんとか出せるかなと思っていました。しかし、新型コロナとウクライナ戦争の影響で世界的に物流が大混乱し、さらに空前の円安。各種手続きを含めると、運送費用の総額は1500万円を超える金額となりました。とてもじゃないが自己資金で払える金額ではありません。ですが、この戦車は当時の三菱のエンジンで走る世界で2台しかない希少な戦車です、チャンスは今しかないと思いました」

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車体番号の下に三菱のマークが…