0歳0か月0日の虐待死事件をなくすために
冒頭で、私はこれまで10件以上の嬰児殺しを取材したと述べたが、ほぼすべてが似たようなパターンだ。
①虐待されて「思考停止」の癖がつく。
②貧困や愛着障害の中で逸脱した性生活に突入する。
③妊娠して男に捨てられ、貧困も相まって思考停止する。
④出産後、パニックになって赤ん坊を殺害、あるいは遺棄。
むろん、女性の知的障がいなどがかかわっているケースもあるが、知的障がいだけでこういう事態が起こることは少なく、上記のような問題が絡み合っていることがほとんどだ。
嬰児殺しのニュースだけ聞けば、なぜ周りに相談しなかったのかと首をかしげることだろう。しかし、その背景には幼少期の過酷な体験が根を下ろしている。
そう考えた時、0歳0か月0日の虐待死事件の根っこには、彼女たちが妊娠するはるか前の段階から抱えている問題があることがわかるはずだ。
取材・文/石井光太