W杯最終予選“2敗目”で感じた責任感

権田で思い出されるのは、カタールW杯最終予選の第3戦、サウジアラビアとの試合のあとのことだ。あの試合では柴崎岳のバックパスを相手にカットされ、そこからゴールを許してしまった。最終予選3試合目にして2敗目を喫するという危機的な状況だったため、日本代表の監督や選手のなかでも、そのプレーについて触れないようにしようという空気があった。

ただ、権田は違った。あのプレーは柴崎だけのミスではなく、チーム全体としてのミスだと語り、仲間をフォローしていた。権田の責任感とチームメイトを思う気持ち、そしてリーダーシップが垣間見えた言動だった。

「もちろん、小学生のときから身体も大きくてやんちゃな一面もあったと思うんですけど、そういう部分も含めて、チームを鼓舞できるというのがゴンちゃんなのかもしれませんね」

日本代表にひとつしかないGKのポジションで、W杯最終予選のレギュラーとして本大会に導いたのが権田だった。

代表チームでは通常、ベンチ入りの2人も含めた3人のキーパーでポジションを争ってきた。シュミット・ダニエルや川島永嗣など、それぞれの長所を持つGKがいるなかで、権田は森保一監督からそのリーダーシップを高く評価されてきた。彼が厳しいW杯予選で日本のゴールを守り続けた要因のひとつはそこにある。

そして、それはさぎぬまSCでプレーしていた小学生のときから、彼がチームメイトに声をかけ続けてきたなかで養われたものだったのだ。


取材・文/ミムラユウスケ 写真/Getty Images

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