娘の友達にまでノロケる夫婦を熱演
──柴咲コウさん演じる妻の梢とのシーンがとても幸せそうでした。彼らの夫婦関係は、どう映りましたか?
仲のいい家族ということは、ものすごくわかるんです。ただ、具体的なセリフに関しては、内心、「堅も梢もやたらノロケるな」という気持ちはちょっとありました(笑)。僕がまったくそういう人間じゃないから。実は一番役作りが難しかったのはそこかもしれない(笑)。
自分が今まで生きてきて出会った家族を思い出してみても……まあ、いなくはないか。でも、まずもって旦那をよく言う妻はなかなかいないですよね(笑)。
人前でもノロける夫婦はあまりいないので、演じる上ではちょっと照れくさかったです。
ただ、相手が柴咲コウさんだから成立しちゃうんですよ。「こういう人いるかもな」って思わせる説得力は素晴らしいと思いました。お芝居になるとすいっと“最愛の奥さま”になりますから。
──家族の絆やつながりを描いた作品を通して、大泉さんが考えたことは?
この映画は生まれ変わりをテーマにしているから、生まれ変わりとはまたちょっと違うんだけど、不思議だなと思うことは僕自身も体験していまして。
娘の部屋に子供の頃からの写真が飾ってあるんだけど、その中に、僕の顔を貼り付けたうちわと、生まれて数ヶ月の娘が一緒に映っている写真があるんです。おそらく、僕が北海道で仕事をしているときに、妻が送ってくれたものだと思うんです。
まだ首もすわっていない赤ちゃんだったのに、娘はその当時の記憶がハッキリあるって言うんです。「パパに送るから笑って、とママが言った」と。それは不思議だなと思いましたね。
──本当に仲のいいご家族ですね。
僕はありがたいことに家族仲はいいですね。今の家族はもちろん、生まれ育った北海道の親父やお袋、兄貴とも仲がよくて。すごく幸せで温かい家族に囲まれてきました。
もちろん、夫をあんまり褒めないところは、うちの母も妻も同じですけど。とっても楽しく親しみやすい家族です。
でも、どうやらそういう家族ばかりではないんですよね。子供が小さい頃に離婚せざるを得なかった夫婦もいるだろうし、僕が演じた小山内のような経験をして、辛い思いをされている方も、世の中にはいる。
もしも大切な人を亡くされた方にこの映画が届いて、少しでも前向きになってもらえることがあるならば、うれしいなと思います。