「生理への不安」の理解が、女性でも簡単ではないワケ

講義の冒頭では、Be-A Japan代表の髙橋くみ氏が、自身が問題意識をもつきっかけとなった「女子サッカー日本代表」の話をした。

サッカーはその競技柄、脚を中心とした下半身に注目がいくスポーツである。そうであるにも関わらず、なぜ女子サッカーのユニフォームのボトムスが白なのか、生理期間に起こりうるトラブルや不安が理解されていれば、もっと工夫されていたのでは、と髙橋氏は語った。

なぜ、女子サッカー日本代表ユニフォームのボトムスは白なのか【生理セミナー】_3
(Be-A Japan提供)

現在、生理について、月経痛やPMS、むくみなどの諸症状は世の中に徐々に理解されつつある。しかし、「漏れたらどうしよう」「長時間生理用品が変えられない」という心理的な不安は人によってかなり個人差があり、女性の間でも理解の差があるのが実情だ。

また、生理用品の不快感や「ズレ」などの違和感は、実際に使ったことのある人でなければ、共感することはなかなか難しいだろう。

髙橋氏は、それらの不安や不快感が生徒や選手のパフォーマンスにも直結することを伝えた上で、女性の体のメカニズムや生理の基礎知識など、身体と心に起こる変化について講義を行った。

「生理を冷やかす子がいたら?」場面別の対応を体験

次に、ナプキンやタンポンなどの生理用品を、実物を用いて紹介。特に男子学生にとっては触れたことのないものであり、戸惑いながらもその使い方や吸水力を学んだ。

なぜ、女子サッカー日本代表ユニフォームのボトムスは白なのか【生理セミナー】_4
(Be-A Japan提供)

セミナーの最後に行われたワークショップでは、学生が指導者(教師)としていつか直面するであろう3つの場面を想定し、それぞれの対応を考えて発表しあった。

想定された場面は次のとおり。

① 体育の授業中に、突然生理になってしまった生徒への対応
②「生理なので体育の授業を休みたい」と頻繁に申し出る生徒への対応
③生理でプールを休んでいる女子生徒に対し、男子生徒が冷やかす場面への対応

②の「生理を理由に体育を頻繁に休む生徒」に関しては、講義前半で「過多月経」について学んだことから、ただの体調不良で済ませずに、なんらかの病気の可能性を踏まえて病院や保健室に行くことを勧めるという意見が出た。

また、③の生理を冷やかす男子がいるという場面では、そもそも生徒全体の生理に対する知識が十分にあるかというところから問題提起をする意見も。

男性だからあまり深く触れてはいけない、という雰囲気をつくるのではなく、「生理は生物として当然の仕組みであり、知識として知っておく必要がある」という学生の意識がうかがえた。