「狭い枠」に押し込めない
Freeformは、「教育現場におけるiPadの存在を非常によく表現している」、とボブ・ボーチャーズ氏は考えている。あらゆる可能性に満ちた教育の現場において、それに応える多用途でクリエイティビティを発揮できる「iPadらしさ」の延長上に存在しているからだ。
「iPadが独自性を保てているのは、我々が“コンピュータ”としてiPadをデザインしていないからです。何かの用途に限定せず、多彩な可能性に対応し続けられるように努めています。
iPadは、あくまで“タッチファースト”な体験が中心です。Apple Pencilやキーボードを追加することもできますが、それが必須なわけではありません。結果として、何かメモを取ったり、写真やビデオを撮影したり、それを編集したり。また、映画を観る場所にもなりますし、コードを学んで、iPadで動作するアプリを作る場所にすらなります。偉大な小説を書く次世代の作家も現れるでしょう。
しかし、どんな用途であっても、私たちにとっては等しく重要です。多彩な用途で、生産性と創造性を発揮することを目指しているからです。だから狭い枠に押し込めようとせず、お使いになる皆さんの手に委ねて、どんな場面でも信じられないほどパワフルで革新的なものになるよう努力してきました。
次の世代が、この生産性と創造性の上で成長していくことは、今後の社会においても役立つでしょう。世界にまたがる難題を解決するうえでは、自由な発想を持ち、コラボレーションに長けた発明家やイノベーターが活躍すると考えるからです」(ボーチャーズ氏)
iPadを活用した授業を目の当たりにすると、日本の教室においても、生産性の向上は数多く見かけることができる。そのうえで、議論を起こし、アイディアを教室の中で共有することを通じて創造性を発揮できるFreeformのようなツールも用意されるようになった。
教育現場では「ある程度柔軟性を保ちながらも、学習目標を達成する」ということが求められるが、Appleはそこにも熱心に取り組んでいる。
その一例として、世界における新しい学びのアイディアを集めて発信するWebページや、「Everyone Can Code」や「Everyone Can Create」といったプログラミングや創造性を養う独自の活用カリキュラムが用意されている。
「Appleは、人々が最も快適な方法で創造性を発揮できることを目指している」とボブ・ボーチャーズ氏は指摘する。
iPadをきっかけに進む、学びの変革。
生産性、創造性を向上するための環境が、いま、Appleによって急速に整いつつあるのだ。
文/松村太郎
写真提供/Apple Japan合同会社