Twitterのトレンド入りや映画化の興行収入もヒットの指標
見逃し配信以外にも今の時代のヒットの指標となっているものと言えば、TwitterなどのSNS投稿の多寡だろう。
例えば『silent』は、なんと第3話まで3週連続でTwitterの世界トレンド1位を獲得しており、第4話も国内トレンド1位を獲得、第5話では再び世界トレンド1位を獲得。
何度か世帯平均視聴率が10%台に乗ったものの全話平均は9%台で終わった前クール放送の『六本木クラス』(テレビ朝日系)も、Twitterの国内トレンド1位を獲得していた。
Twitterはリアルタイム視聴の方々のつぶやきがメインのため、けっきょく視聴率に依存していると思われるかもしれないが、高視聴率ドラマが必ずトレンド1位を獲得しているわけでもない。Twitterの投稿の多さは視聴率の高さに比例しているわけではないのだ。
Twitterでトレンド1位を獲得できるかどうかは、視聴者の熱量の高さにかかっているのではないだろうか。
流し見している人はわざわざつぶやかないので、Twitterのトレンド1位は熱心なファンが非常に多くついているという証拠。つまり視聴率ではわからない視聴者たちの熱量の高さを測る指標として、TwitterなどのSNSは重要視されているのである。
そしてTwitterのトレンド1位獲得というトピックは、ネットニュースなどで取り上げられやすい。その上、テレビ局側もそれを謳って宣伝できるといったメリットもあり、好循環が生まれて人気に拍車がかかる大きなファクターになっているのかもしれない。
また少し遡ると、2018年放送の『コンフィデンスマンJP』(フジテレビ系)は全話が一桁視聴率で、内容的には放送当時から高評価されていたものの、数字的には“不発”という烙印を押されていた。
しかしその後2019年、2020年、2022年に劇場版が公開され、第1作が約30億円、第2作が約38億円、第3作が約29億円と興行収入を荒稼ぎするヒットシリーズに大化け。ドラマ放送は低視聴率ながら、明確にマネタイズに成功した作品となったのだ。
――このようにTVerをはじめとした見逃し配信、TwitterなどのSNSでの反響、映画化の興行収入の成績など、令和のいま、“ヒットドラマ”を裏付ける指標は増えてきている。ドラマ業界は視聴率に依存せずともヒット作を生み出せる新たなフェーズに突入しているのだ。