けれど、それもこれも、ある時ふとXさんの口から出た冒頭のセリフを聞いて、なるほど、とすべて合点がいったのです。驚きもしたけど。

「私、人からいい人と思われないことが1番のストレスなの」

大真面目な顔で言ってた。

多分、Xさんの本来持っている性質には、めんどくさがり、苦手なことは後か他所にまわす、というものもあったのだと思う。
小さな遅刻はよくしていたし、仕事の締め切りは守れないことが多かったし、クリーニング屋さんに洋服をずっと取りに行き忘れていて苦情の電話がかかってきてたり。

でもそういった性質をひた隠しにして、気配りのできるいい人を演じてた。
そりゃ疲れるし、ほころびも出るだろう。
ちょっと気を抜いたときには本来持っている性分がダダ漏れになってしまうのもしょうがない。
だけど「いい人」と思われない方がストレスだとは。辛いなあ。

今思えば、先述の会話でも、本音では私に褒めてほしかったんだと思う。
以下はXさんが期待していたと思われる模範回答。

「大丈夫ですよ〜、ダイエット中でも○○さん甘いもの好きですから、きっとうれしいですよ! さすがXさん!」
「さすがXさん! Xさんらしいお気遣いですね!」
「私なんかそんなにいいお店知らないですよ〜。でもそう言ってくださるなら探しときますね!」

とか、きっと言って欲しかったんだろうなあ。実際そう言われることも多かったんだろうなあ。
最後のやつも、いい人全開で幹事言い出しちゃって、お店のアテもなくて、めんどくさくなってこっちにキラーパス。
ほら、オイラはいい人と思われなくてもいいリスト側だから。

人間、24・365でいい人でなんかいられない

だいたい人間、四六時中、今で言うなら24(時間)365(日)か、どんな状況でもいい人でなんて、そうそういられるものじゃない。
もちろんなかには本来持っている性質がとびきり優しかったり、思いやり深かったりする人もいる。
でも、そういう人は、いい人、優しい人、と周囲に認識されながらも、「あの人、優柔不断だよね」とか「八方美人だよね」と言われてしまったりもするもの。
実際、そんなつもりはないのに、そう言われてしまうことで悩んでいた人も知っている。
人間関係、つくづく難しい。

いい人はどうでもいい人? 自己発信と承認欲求の時代、あなたは人になんて言われたい?_1
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