タワーレコードが金色に染まった日
さて、世に言う80年代、バブルの時代というのはまさにユーミンの最盛期のひとつ。
これまた今でも鮮明に憶えているのだけど、84年にアルバム「NO SIDE」がリリースされたときには渋谷のタワレコがそのゴールドのジャケット一色になって目がクラクラしたものである。
ラグビーの試合はノーサイドで終わるということを世に知らしめ、当時、彼氏が六大学ラグビー部所属であることは、年上の彼が電通勤務であるのと同じくらい、女子大生にとって誉なものに。
いや、「ノーサイド」楽曲が先だったのか、バブルが先だったのか。
そのくらいすごかった、ユーミン。このころから恋愛の教祖とか言われてた。
別にお悩み相談とかしてたのではなく、その歌からのメッセージ性だけで。
ニッポンの恋はユーミンの歌と共にあるのは本当
ところで私は社会人、編集者になってからは雑誌の音楽ページ担当をしばらくやっていたので、実際にユーミンのコンサートに行く機会にも何度か恵まれた。
噂に違わず、ダイナミックな演出、素晴らしい音響とミュージシャン、そして何よりも長身と抜群のスタイルを生かしたユーミンのたたずまい、ダンス…すごい、すごすぎる。エンターテインメント、極まれり。
それまでにもよく、恋も仕事もユーミンに教わった、というようなタイトルとかコメントとか特集があったのだが、確かにユーミンの楽曲の歌詞というものが、ある意味格言チックだったり、教訓になるものだったりするのは間違いない。
「ルージュの伝言」ではオイタをした彼のママに言いつけることを教わり、「真珠のピアス」では不実な彼の部屋にピアスを片方落としてくるワザを教わり、「Destiny」では普段着も気を抜いてはいけないことを教わり、「14番目の月」では恋が成就する寸前の醍醐味を…キリないわ……!
音楽を聴くとき、あまり歌詞には耳を傾けない自分ですらこんなに心に残ってる。
そして今ひとつのユーミンの魅力といえばやはり楽曲、旋律の心地よさ。
車内で流すことも多いユーミンナンバー、ドライブとのグルーヴ感は最高だ。
その頃、Apple musicとかないから……(笑)。CDからテープにダビングして(車にCDプレーヤーがまだ搭載されてなかった)、なんならドライブにあうナンバーを厳選編集して(今でいうSpotifyか)、「カンナ8号線」に「埠頭を渡る風」に「真冬のサーファー」に「サーフ天国、スキー天国」…そうそう苗場もすごかった。ゲレンデでかかりまくるユーミン。スキーとまるで関係ないナンバーでも違和感ゼロ。 なぜだ。
あの頃、まさかの関越・練馬インターから月夜野まで途切れなかった渋滞(体験実話)、そうまでしてみなスキーに行きたかったのか。
高速上で夜明かしを強いられた車の9割に、「サーフ&スノー」は搭載されていたはずだ。