スマホの普及がグミ業界を後押し

日本の菓子メーカーでは1980年からグミの製造が開始された(日本初のグミは明治製菓の「コーラアップ」)。そのため、グミは飴やガムに比べて歴史が浅い。グミ業界全体としては20〜40代女性が主な購買層で消費者は年々増加傾向にあり、グミ業界は2021年の市場規模が約600億円を超えるなど、右肩上がりの好況が続いている。その反面、ガム業界は苦戦が続いているという。

「ガムが買われなくなった理由のひとつには『スマホの普及』があると言われています。昔は暇つぶしのためにガムを噛むことがありましたが、現在は代わりにスマホを見るようになり、ガムを噛む機会が減っているようです。逆にグミは手を汚すこともなく口から出す必要もないので、スマホとの相性はいいと感じております」

シゲキックスもグミ業界の成長とともに業績を伸ばしているが、他のグミと大きく異なるのは、現在のメインの購入層が30〜40代という点だ。子供の頃に親に買ってもらったことのある世代が、大人になった今も酸っぱさとハード食感の刺激を楽しんでいる。

「こんな酸っぱいグミは売れない」はずがロングセラーに…グミ業界の異端児「シゲキックス」ヒット秘話_03
初代のユーザーには懐かしいパッケージの復刻版

逆に、あまり買わないのが10〜20代前半のZ世代と呼ばれる層だ。UHA味覚糖は若年層への認知度を高めるために、現在20歳の世界的ブレイクダンサー・半井重幸さん(ダンサーネーム・Shigekix)をアンバサダーとして起用し、若年層への訴求を行なっている。

「こんな酸っぱいグミは売れない」はずがロングセラーに…グミ業界の異端児「シゲキックス」ヒット秘話_04

「半井さんは、先輩ダンサーに名前の重幸(シゲユキ)とシゲキックスをかけて『Shigekixね!』と言われて、ダンサーネームを決めたそうです。その縁がきっかけでコラボが決まりました。また彼が『ブレイクダンスで世界一になってシゲキックスのCMに出演したかった』と記者会見で話してくれました。おかげさまで徐々に若い世代にもシゲキックスが認知されてきています」