トライアル当日、家に到着した直後は不安そうな声で鳴いていたものの、ケージから出してあげると、家中を探検し始めたという。
「お迎えしてみたら、めちゃくちゃ元気で普通の猫ちゃん。猫は環境の変化に弱い生き物ですが、全くもの怖じしてなくて安心しました」
猫との生活がスタートしたのも束の間、あるトラブルが天道さんを襲う。鼻水や目のかゆみなど、仕事が手につかないほどの猫アレルギーの症状が出たのだ。
「猫カフェや知人の猫ちゃんと触れ合っていたときには何もなく、花粉症もないのでアレルギーとは無縁だと思っていたんです。特に鼻水の症状がひどくて『これは飼えないな』と思うほどでした」
そこで、掃除を徹底し、毛が付きやすいカーペットは撤去。市販の漢方を服用したところ、症状は収まっていった。そしてトライアル最終日、正式に引き取ることを保護主に連絡した。
「私は運良くアレルギー症状が収まりましたが、犬や猫を飼う前にはアレルギー検査をすることをお勧めします。もし、ペットショップで買ってしまったあとだったら取り返しがつきません。その点、保護猫カフェは何日かけて通ってもいいし、トライアル期間もあるので触れ合う時間をしっかりとれます。これは保護猫カフェの良いところだと思います」
猫は「しじみ」と命名。以前、自宅の庭に来ていた茶色ベースの年老いた野良猫を「あさり」と呼んでおり、引き取った猫は黒色ベース。「あさりの分まで幸せにする」という思いを込めて「しじみ」と名付けた。
虐待で3本足になった保護猫・しじみちゃんと漫画家の幸せな日々
虐待にあい足が3本となってしまった保護猫のしじみちゃん。この猫を飼い始め、すっかり“親バカ”になってしまったのが、飼い主の漫画家・天道(あまじ)グミさんだ。ツイッターで猫マンガエッセイを連載したところ話題になり、2020年4月には『3本足のしじみちゃん』として書籍化。そんな天道さんとしじみちゃんとの幸せあふれる生活をご紹介。
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猫との暮らしの思わぬ効能