――社会人野球を観てみたいと思ったら、やはり都市対抗がオススメでしょうか。
そうですね。社会人野球にも秋冬に開催される「日本選手権」やJABA(公益財団法人日本野球連盟)が主催して全国各地で開催する「JABA大会」などがありますが、やはり一番盛り上がるのは都市対抗だと思います。先ほどお伝えした通り、応援も華やかですし、今まで社会人野球を見たことがないという方におすすめしたいです。
――そもそも“都市対抗”とは何なのか、また、どんな面白さがあるのでしょうか?
対戦カードに企業名が並んでいるので企業同士の対決かと思いきや、実は都市対抗はその名の通り、都市同士の対決なんです。例えばトヨタ自動車(豊田市)は今回日本製鉄かずさマジック(君津市)と対戦しますが、これは豊田市と君津市の戦いになるわけですね。
また、トヨタ自動車は東海地区の予選を勝ち抜いて都市対抗に出場するのですが、同じ東海地区で都市対抗に出場できなかった企業チームから3名ほど選手を補強できるシステムがあるんです。「補強選手」と呼ばれていますが、これも都市対抗の大きな魅力の一つです。
都市対抗でしか見られない、戦国時代的ロマン
――つまり、東海地区の企業でトヨタと戦ったが、トヨタの看板を背負って都市対抗に出場する、と。「昨日の敵は今日の友」ということですか!
はい、それはもう戦国時代のような話なんです。徳川軍と武田軍だけで戦うわけじゃない、みたいな(笑)。徳川家の思いについていこうという別の家の人たちも一緒に戦うぞというわけです。
というのも、都市対抗では、全国制覇したチームは翌年の地区予選が免除されます。例えば、トヨタ自動車が今年日本一になると、来年は東海地区の予選を経ずに都市対抗に出られる。すると、東海地区には1枠空きができるので、同地区の他チームは都市対抗に出るチャンスが広がります。
そのため、東海地区のチームは今年の都市対抗でトヨタ自動車(または東海地区代表権を持つ他のチーム)が全国制覇できるよう応援する、つまり、自分たちの選手を喜んで補強に出すという図式ができるわけです。