デジタルタトゥー問題
――デビュー当時は、ルールがゆるかった?
ゆるゆるでした(笑)。契約書はなく、ギャラは当日、現金渡し。受け取りのサインもしていなかったような記憶があります。その頃に比べると、4年前、アバンが出来てからは、契約書にきちんと金額が記入されていて、キスの回数や、絡みの回数までしっかりと明記されていますから、天と地ほどの差があります。ただ……。
――ただ?
それでもゆるい部分は残っていて。中には、契約書に金額を入れるのを忘れていたりということもあって。「テキトーに書いておいて」「わかりました。じゃぁ、1000万円って書いておきますね」「書くのは自由だけど、後で、ちゃんと金額の入った契約書にもう一回、サインをもらうことになるけどね、はははっ」とか。そういう、ある種、ゆるいというか、牧歌的な会話が交わされていたんですけど、法律ができたことで、これからは、そういうこともなくなるんだろうなと思うと、ちょっと、寂しい感じもします。
――性病検査も義務付けられていると伺いましたが。
性病検査は、アバンが出来る前からありました。2006年くらいだったかな。最初は5項目…梅毒、HIV、淋病、クラミアジアに、B型肝炎。それから徐々に増えていって、現在は、咽頭淋菌、咽頭クラミジア、ヘルペス、コンジローマを咥えた9項目を撮影の1カ月以内に検査をして、その証明書をそれぞれ確認した上で、撮影に入るというのが、ルールになっています。
――安全性で言えば、パパ活している子たちより、よほど安全ですね。
だと思います。思いますけど……。
――他にも何か?
メーカーさんが持っている映像に関しては、引退後、ある期間を経たら…結婚を機にとか、子供ができたことを機にとか、弁護士さんに相談して、映像を取り下げてもらうこともできるようになったんですが、違法コピーに関しては、どーにもならないみたいで。一度、出た映像は、デジタルタトゥーと呼ばれているように取り消すことが難しい。個人的には、これを解決してほしいと思っています。
――AV女優になって、マイナスを感じたこと、プラスに思えたこと、これからやってみたいことを教えてください。
マイナスは、皆さんの想像通りです(笑)。実際ないこと、ないこと(笑)、いっぱい言われて、嫌な思いをしてきましたから。プラスは、こんな私でも応援してくださる方がいるということ。たかがAVですけど、それでも演技…どうしたら皆さんが喜んでくれるか!? どうしたらリアルを感じてもらえるか? 一生懸命考えての結果、賞をいただき、応援してくれた皆さんと一緒に喜べたことです。それは、それだけは胸を張って言うことができます。
――これから、やってみたいことは?
4年前、東京・新宿歌舞伎町で、小さなラウンジバーを始めたんですけど、いつか…いつかもう、川上ゆうはいらないと皆さんに言われた時に、このラウンジバーの他にもう一軒、小料理屋さんをやってみたいという夢はあります。昔話をしたり、エロトークをしたり、いつまでも、明るく、楽しく、ですね。
ラウンジバー・ラビリンス
東京都新宿区歌舞伎町2-13-6メトロプラザ1ビル3F
HP http://www.labyrinth.tokyo/
TEL 03-6457-6180
Mail:info@labyrinth.tokyo
営業時間:17時~24時
※各キャストにより営業時間が異なる場合があります。
詳しくはHPのスケジュールにてご確認ください。
撮影/中村功 取材・文/工藤晋