業界独自のルールづくり
…そう…なんですよ。それが業界のルールだからとか、なんとか言われて。あぁ、そういうものなのかと思って(苦笑)。結果、いい事務所を紹介していただけたので、結果オーライではあるんですけど、スカウトマンが、その映像をこっそりどこかに売ったみたいで。ファンの方から、「あの映像、川上さんですよね?」と言われて、初めて気がついたという、バカですよね(笑)。
――そういう被害は、確かに減りそうです。
はい。知らずに騙されそうになった子は、このルールで守られると思います。撮影後に取り下げた場合、受け取ったギャラに法定利息を加えて返金しないといけないとか、そういう問題はありますけど、それでもある部分では守られます。
ただ、そうなると、今、トップを走っている女の子や、ベテランと呼ばれる人たちは、みなさん、困ったことになって。6月23日以降に契約を交わした場合、年齢に関係なく、発売するまでに最低でも5ヵ月…宣伝期間を入れると、6〜7ヵ月は必要になるので、みなさん、法律の施行前に、急いで契約を交わしていたみたいです。私も含めてですが(笑)
――他にも、影響はありますか。
あるメーカーさんは、契約のトラブルを防ぐために、毎回、女優さんが契約書を声に出して読むのを映像に残すようにしているんですけど…これからは、どうするんだろう? とは思いましたね。
――新法ができる以前から、そういうルールがあったんですか?
5年くらい前、アイドルプロダクションだと思って入ったのに、無理矢理、AVに出演させられたという事件が起こったのを契機に、AV女優の人権を守り、契約問題や、肖像権、パブリシティ権、2次使用に関する権利など、あらゆることに関して相談に乗ってくれるAVAN(アバン)という任意団体が誕生して。それが出来たことで、業界独自のルールが作られるようになったんです。
――声を出して契約書を読み、それの映像を残しておくのも、そのひとつですか?
メーカーさんによって、黙読でもいいとか、多少の差異はありますが、強要されて署名しているわけではありませんという映像を、毎回、必ず撮りますね。少なくとも、私がお世話になっているメーカーさんは、100%すべて記録を残しています。私が、森野雫の名前でデビューした2004年と比べると、雲泥の差です。