遠隔授業でも、個人作家でも。商用フリーにした理由

―― 商用利用が可能でこの価格、ということも話題になっています。

尾形 文字読み上げソフトは昔からありますが、企業や個人事業主などが商用で使う場合はとても値段が高く、100万円を超えることが普通でした。弊社に問い合わせをいただいても、値段を伝えると諦めてしまう方が多かったです。

特に2011年に起きた東日本大震災の際、移動が大きく制限された結果、学校の映像授業や企業のオンラインプロモーションなどで、自分の代わりに喋るソフトを使いたいという問い合わせを非常に多くの方からいただきました。それでも、正規の値段ではなかなか要望にお応えすることが難しくて。私が宮城県出身ということもあり、そこへの思い残しや、地元に貢献したいという気持ちは持ち続けていました。

―― 技術はあっても価格がネックとなって、有事のニーズに応えられなかったのですね。

尾形 コロナが始まって、まったく同じことが起こりました。どこにも出かけられなくなって、オンライン授業も広がって。ただし10年前に比べて、ソフト面でもハード面でも、遠隔で授業を受けたり会議をしたり、オンラインでプロモーションを仕掛けるハードルは低くなりました。その分、音声合成へのニーズが再び増えたわけです。

その渦中に発売された『VOICEPEAK』がこの値段になっているのは、シンプルにこういった需要に応えて、一般の方や学校、企業であっても手が届くようにしたかったからです。だから、本来であれば数十万円以上のライセンスがこの価格になっているので、もっとたくさん売っていかないといけないのですが……(笑)。

また、個人として非商用のソフトウェアを使ううちに、YouTubeやニコニコ動画で広告収入などの収益が発生するケースもあります。そうした際に、どこまでソフトウェアを利用できるのか?禁止事項に該当しないのか?などと心配になると思いますが、『VOICEPEAK』なら悩まずにご利用いただけます。